ルノー・プジョー・シトロエンだけじゃない! 消えたフランスメーカー・シムカはご存知?『さいたまイタフラミーティング2023』で見つけた名車・旧車vol.7
フィアットの資本で設立され、フランス第4位のメーカーに成長
フランス車といえばルノー、プジョー、シトロエン、DSの4ブランドを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、世界初の蒸気自動車を発明し、近代的なFRレイアウトのガソリンエンジン車(システム・パナール)を世界に先駆けて世に送り出した「自動車発祥の国」であるフランスには、過去には様々なメーカーが存在した。合従連衡の末、それらのメーカーの多くは廃業するか、現存するメーカーへ吸収されて消えて行ったが、それらのメーカーには現在でも多くのファンを持つ個性的なメイクスも存在する。 【画像】貴重なクラシックフレンチカー「シムカ」。 アンリ・テオドル・ピゴッツィによって設立されたシムカもそんな今はなきフランスメーカーのひとつだ。社名の由来はフランス語で「自動車車両車体工業会社」を意味するSociété Industrielle de Mécanique et Carrosserie Automobileの頭文字を取って名付けられた。 このメーカーのユニークなところは隣国・イタリアのフィアットと深いつながりを持つことにある。元々創業者のピゴッツィはトリノ生まれのイタリア人で、彼はフィアットのためにフランスから鋼鉄を輸入する貿易会社を営んでいた。 そんな縁から1926年にフランスにおけるフィアットの販売権を得て、フィアット資本の完全子会社・SAFAF(Société Anonyme Française des Automobiles Fiat)を設立。カタチばかりの社長としてフランス人の元自転車選手エルネスト・ロスティを招き、実質的にはピゴッツィが経営を担った。しかし、当時は2国間の間で貿易協定は存在せず、イタリアからの完成車輸入には高額な関税がかけられていたためSAFAFの事業はあまり振るわなかった。 ところが、これには抜け道があり、イタリアからパーツを輸入し、組立をフランス国内で行えば関税を回避することができたのである。そのことに気づいたピゴッツィは、フィアットからの資金援助を受けてパリ郊外のシュレーヌに工場を建設。1934年に社名をシムカに改めて、フィアットの小型大衆車・フィアット508バリッラのノックダウン生産を始めたのだ。