どんな役割を持っているか知ってる? 最近のバイクに必須の「三元触媒」を徹底解説
三元触媒とは?なぜバイクに必要とされているのか
排ガス規制が厳しくなる中、バイクにもさまざまな技術が搭載され、環境負荷を低減する工夫が進んでいます。 【画像】現代のバイクの排気装置に必須の「三元触媒」を画像で見る(10枚) そんな中で最近は「三元触媒(さんげんしょくばい)」という装置が、多くの新型バイクに標準装備されるようになりました。しかし、三元触媒がどのような役割を果たし、なぜ現代のバイクにとって必要不可欠な存在となっているのか、詳しくは知らないという人も多いと思います。 三元触媒は、エンジンからの排気ガスがマフラーを通過する際に、排気ガス中の有害物質を化学反応で浄化する役割を担っており、一般的にはエンジンからマフラーに向かう排気経路の途中、もしくはマフラー内部に設置されています。 この三元触媒を搭載することで、排気ガスがバイク外部に放出される前に、主に一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物の3つの有害物質を処理し、無害化してくれるのです。
触媒には主にプラチナ、パラジウム、ロジウムの3つの貴金属が使用されており、排気ガスに含まれる有害物質を化学反応で無害なものに変換します。なお、この装置が「三元触媒」と呼ばれるのは、文字通り3つの貴金属が使用されているからです。 三元触媒には、酸化反応と還元反応の2つの化学反応が関わっており、このような化学反応を効率的に進めるために、三元触媒には高温が必要。 通常、エンジンが始動してから数分間は触媒が十分に機能しないとされており、エンジンが温まった状態で本来の浄化性能を発揮します。そのため排熱が少ない小排気量のエンジンでは十分に機能しない場合もあり、50ccバイクが生産終了になるなどの影響も出ています。
前述したように、三元触媒は近年の厳しい排ガス規制をクリアするために欠かせない装置。特に欧州連合が定める「ユーロ5」と呼ばれる規制や、それと同等に設定されている日本の排出ガス規制は厳格で、これらをクリアするためには三元触媒を始めとする高度な排気ガス処理技術が必須です。 三元触媒が設置されていないバイクでは、これらの規制をクリアするのが難しくなるため、現在販売されている多くのバイクにとって標準的な装備となりました。 また、三元触媒は単に規制をクリアするだけでなく、環境保護や都市の大気汚染防止に貢献する役割も果たしています。バイクに限らず、自動車や他のエンジン駆動車両においても三元触媒は標準装備されており、こうした装置の普及が大気中の有害物質の削減に役立っているのです。