米国での“+18.58ヤード”もアドバンテージに 古江彩佳が日仏メジャー制覇へ見せた異次元ゴルフ
<日本女子オープン 初日◇26日◇大利根カントリークラブ 西コース(茨城県) ◇6845ヤード・パー72> アイドルみたいな尾関彩美悠【写真】 同一年に日米ツアー両方でのメジャー制覇達成へ、古江彩佳がひとり“異次元”ともいえるプレーを続けた。「65」をたたき出し、2位に3打差の7アンダー・単独首位に立つと「想像してなかったスコア。うまくショットとパットが絡んでいけました」と、本人も目を丸くする。 午後組のひとりとしてスタート。その前には戦況を見て「トップは3アンダーくらいかなと思いながら、私もイーブン、1アンダーくらいでいかないとと思って出ました」と目標を定めた。出だしの1番はティショットをラフに入れボギーの滑り出し。だが涼し気な表情は変わらないようにも見えた。するとすぐさま2番でバンカーからの2打目を30センチまで寄せてバウンスバックに成功。そこからは快音を響かせた。 最終18番パー4も、残り154ヤードの2打目で8番アイアンを振り抜くと2メートルにつくチャンスを生み出す。これを沈めて8個目のバーディ。2番の30センチのほか、10番も60センチ、14番も30センチにつけるなど、とにかくショットがキレる一日だった。 ただ本人は「(ショットに)自信があったかと聞かれるとないに近い。うまく寄せていけて、それでバーディが取れた」と話す。先週はオフにし、コーチで父の芳浩さんとともにスイング時のアドレスのズレなどを修正。「まだ完璧に直ったかと言われると分からないですけど、しっかり調整ポイントを理解して臨めてはいます」。取り組みが実った結果でもある。 今年7月にフランスで行われた「アムンディ・エビアン選手権」を制覇。海外メジャー女王として、その名を刻み込んだ。今大会の開幕前には「せっかく海外でメジャーも獲れたので、日本でもタイトルを獲ることが大事。そこも意識しながら頑張れたら」と、仏・日のビッグタイトル両獲りへの意気込みも示していた。同一年に日本と海外のメジャータイトルを手にすれば、2019年に「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」と「全英AIG女子オープン」を制した渋野日向子以来となる。それに一歩近づいた。 今季の米国ツアーでは、ドライビングディスタンスで252.09ヤードを記録している。海外勢が相手とあって、134位の下位ではあるが、米国へ渡る前年の日本ツアー(2020-21年)は233.51ヤードだったことを考えると、驚異的に伸びている。今大会はツアー史上最長の6845ヤードを誇るコースだが、「米ツアーでやっていて、長さは日本の頃よりも経験を積んだ。距離感も分かるし、セカンドをUTやウッドで打つことが多くて慣れた分しっかり打てていますね」と恐れることはない。海外でもまれた時間が、ここで力になっている。 自己評価は「95点くらい」。減点については「パー5で2打目をレイアップする時にラフに入れることが多々あったから」と説明する。確かに4つあるパー5でバーディを奪ったのは5番だけ。まだまだ伸びしろがあったという言い方もできる。「全ホール難しいと思いながら打ってました」。そんな言葉が信じられないほどの圧巻プレーを海外メジャー女王が見せつける初日だった。(文・間宮輝憲)