国吉りんご5割被害 カメムシ大量発生 富山県高岡
●直売所で格安販売、無料提供 触ってしまうと強烈な臭いを出すカメムシが夏に大量発生した影響で、高岡市国吉地区特産の「国吉りんご」が深刻な被害を受けている。リンゴはカメムシに果汁や養分を吸い取られると、表面にでこぼこが生じたり、変色したりして、商品価値がなくなる。被害は全体の5割にも達するとみられ、生産者を落胆させている。 【写真】カメムシに汁を吸われ、一部が変色した国吉地区のリンゴ 県高岡農林振興センターが5~10月に管内(高岡、射水、氷見、小矢部)で行った調査によると、カメムシの捕獲数は平年の4倍となった。とりわけ里山に近い国吉地区は数が多かったとみられ、国吉農林振興会が単独で行った調査では平年の数十倍に相当するカメムシの発生が認められた。 国吉地区では早生品種の「陽光」、中手品種の「王林」、そして生産全体の7割を占める主力の「ふじ」を合わせ、例年16~20トンのリンゴを生産し、スーパーなどに出荷している。今年は県の指導を受けて農薬散布を増やしたものの、いずれの品種も大きな被害を受けた。10月以降に暖かい日が続いたことも被害の拡大を招いた一因とみられる。 振興会によると、でこぼこなどの傷が少ないリンゴは直売所で格安販売したり、サービス品として無料提供したりしているが、傷が目立つものは廃棄せざるを得ないという。伊東寿代表は「大幅な収入源となり、産地の維持に関わる重大な問題だ」と肩を落とす。 ●他の産地も被害 県内の他のリンゴ産地も少なからずカメムシ被害を受けている。JAうおづの担当者は「例年はカメムシが余りない平野部も今年は被害があり、贈答品になる上物の割合が減った」と語った。県砺波農林振興センターによると、砺波地方でもリンゴは早生や中手品種を中心に被害が発生した。