じつは「2015年の法改正」で大きく変わってしまった「相続税がかかる人」と「かからない人」のボーダーライン
「先日父が肺がんで亡くなりました…。相続は初めてなので、右も左もまったくわかりません。これから相続手続きが必要になると思いますが、まず最初に何から手をつければ良いですか?」 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ” 悲しみの中ご相談にいらしたのは、吉祥寺に住む田中さん(仮名)ご一家。 相続税の専門家であるネコタ先生は、相続手続きで困っている田中さんに次のようなアドバイスをしました。 「まずは、亡くなった人の遺産がいくらあるか、その金額を大まかに把握することから始めましょう。もし、遺産が多ければ相続税の申告が必要になります。その場合、相続税の申告期限は亡くなった日の翌日から数えて『10カ月』しかないので、テキパキと手続きを進める必要があります。 具体的には、遺言の有無の確認、戸籍謄本や印鑑証明書などの収集、相続人の確定、遺産探しや遺産分けの話し合い、相続税の申告と納税などを亡くなってから10カ月以内に行う必要があります。 一方、亡くなった人の遺産が少ない場合には、相続税の申告が不要なので、焦って相続手続きを進める必要はありません。ひとつずつ、ゆっくりと相続手続きを進めましょう。」
まずは相続税が「かかるか」「かからないか」の見極めからスタート
相続税は、すべての相続人が税務署に支払う税金ではありません。 亡くなった人が残した遺産が 「一定額以上」の場合にのみ、相続税は発生します。 相続税とは、身近な人が亡くなったときにその人の遺産(現金、預貯金、土地、家屋、株式、投資信託、債務など、経済的に価値のあるすべてのもの)を配偶者や子供などが相続するときに、税務署へ申告して納付する税金です。 ただし、個人が相続人になる回数は一生のうちに「数回」。 そのため、いざ、当事者になったときにどう対処するべきか、右も左もわからずに戸惑うのはごく自然なことです。その場合は、焦らずにいったん落ち着いてから、相続税が「かかるか」「かからないか」の見極めからスタートしましょう。なぜなら、相続税がかかる人とかからない人では、「集めるべき資料の量」や「タイムリミットの有無」が大きく異なるためです。 例えば、相続税の申告が必要な人は、銀行や証券会社などから預金や株式などの「残高証明書」を入手するとともに、法務局から所有していた不動産の「登記簿謄本」や「公図」、「地積測量図」などを入手し、亡くなった後に支払った病院代や公共料金、各種税金の「領収書」などを集めておく必要があります。 また、相続税の申告と納付の期限は、亡くなった日の翌日から10カ月以内と定められています。このため、相続税の申告が必要な場合には、10カ月以内に相続人を確定させ、遺産をすべて探し出し、誰がどの遺産を相続するかの遺産分けを基本的に10カ月以内に終わらせなければならず、時間的なプレッシャーと戦う必要があります。 一方、相続税の申告が不要な場合、基本的にこういったタイムリミットが少ないため、余裕をもって相続手続きを進めることが出来ます。