トランプ氏勝利、FRBの独立性に暗影投じる-経済の先行きにも影響
トランプ氏のアドバイザーの中には、同氏がFRBに干渉するのではないかとの懸念に反論する人もいる。
トランプ大統領の経済アドバイザー、スコット・ベッセント氏は10月にブルームバーグ・ニュースとのインタビューで「トランプ氏はFRB会合の場にはいたくないが口だけは挟みたい、というのが私の受けた印象だ」と発言。「トランプ氏は中央銀行の独立性が長期的なインフレ期待を安定させ、それが長期金利を抑制することを理解している」とヘッジファンド、キー・スクエア・グループの最高経営責任者(CEO)でもあるベッセント氏は語った。
トランプ政権1期目に大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたケビン・ハセット氏は、10月に公表されたゴールドマン・サックスとのインタビューで、FRBと行政府が協調しているとの疑惑は「真剣に受け止められる必要があり、次期政権は中立的なFRB指導部を選ぶべきだ」と述べた。
トランプ氏がFRBに影響を与える最も直接的な方法は、今後数年間の主要人事だ。トランプ氏はすでに、2026年5月に議長としての任期が終わるパウエル氏を再任しないと表明している。クーグラーFRB理事の任期は2026年1月までで、パウエル氏の理事としての任期は2028年1月までだ。トランプ氏はそれぞれのポストを指名する機会がある。
ベッセント氏を含むトランプ陣営に近い複数の情報筋は、トランプ氏が最終的にハセット氏をFRB議長に選ぶ可能性があると述べている。
次期大統領は銀行監督を担当するFRB副議長を指名することもできる。2026年7月に任期が終了するこのポストに、バイデン大統領はマイケル・バー氏を起用した。バー副議長は銀行資本要件引き上げの当初案を巡って、銀行業界や共和党から強い批判を浴びた。FRBと他の規制当局は現在、この案の修正を図っている。
JPモルガン・チェースの米国担当のチーフエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は10月のリポートで、ここ最近の銀行監督担当FRB副議長はいずれも、野党候補の大統領が当選した直後に辞任していると指摘。「バー氏がこの例に倣った場合、次期大統領は金融政策への直接的な影響力は弱くても、規制政策にはすぐに影響を与えることができる」と述べた。