トランプ氏勝利、FRBの独立性に暗影投じる-経済の先行きにも影響
パウエル議長は7日のFOMC会合終了後の記者会見で、選挙が金融政策の見通しにどのような影響を与えるかという質問を受けるのはほぼ間違いないだろう。
パウエル議長は1期目のトランプ政権時代に大統領の怒りを買うことが多かった。こうした辛辣(しんらつ)な発言は今も続いており、トランプ氏は8月、パウエル議長が金利を動かすのは「少し早過ぎたり、少し遅過ぎたりする」と批判した。
「発言権」
トランプ氏はまた、大統領は金融政策について「発言権」を持つべきだとの考えを示しており、FOMCが9月に政治的な理由から通常より大幅の0.5ポイント利下げを実施したとの見解を示唆した。
10月にブルームバーグ・ニュースのジョン・ミクルスウェイト編集主幹とのインタビューに応じた際には、大統領が政策金利の変更を強制できるべきだとは思わないと述べたが、大統領が金利の変更について中銀トップに意見を述べるのは妥当との考えを示した。
しかしこれまでのトランプ氏のレトリックが呼び起こしているのは、FRBの独立性を弱め、行政府の影響を受けずに金融政策を実施するという数十年にわたる慣行を覆そうとしているとの臆測だ。トランプ氏は最初の任期中にパウエル議長の解任を検討したが、そのような前例はなく、法律の専門家によれば法的にも問題があった。
FRBには大統領の干渉に対する防護壁がある。例えば大統領が指名したFRB理事は上院で承認されなければならないし、議会の委員会はFRBを監視している。パウエル議長をはじめとする政策当局者は、金融政策の決定が党派的な政治とは無縁であり、政治的な配慮を考慮することはないと繰り返し国民に表明してきた。
疑念を招く
ジョージ・ワシントン大学のサラ・バインダー教授(政治学)は、大統領が公の場でFRBを声高に批判することが、そうした疑念をもたらしている可能性を指摘する。
「構造的な独立性は確かにある」としながらも、「FRBの有言実行に疑いが生じ始めたら、構造的な独立性がどの程度あってもFRBを守ることはできない」と指摘した。