マクロン大統領の総選挙決定、与党にも怒りと衝撃-「負け戦」の声も
(ブルームバーグ): マクロン仏大統領の総選挙実施決定は与党にとっても寝耳に水だった。
マクロン氏(46)率いる与党「再生(RE)」の議員や当局者らは、11日になってもまだ総選挙の決定を受け入れることができない様子だった。怒りを示す者もいれば、政治的な論理を探ろうとする者もいたが、多くは今後の見通しに悲観的だった。
事情に詳しい関係者によると、アタル首相とブロンピベ下院議長はいずれもマクロン氏の決定に反対した。
RE所属議員のクリストフ・マリオン氏は「マクロン氏が(総選挙の)決定を発表した際、党内には衝撃と怒りが走った」と明らかにし、「まるで負け戦に放り投げられたように感じられた」と語った。
与党は9日開票された欧州議会選挙でマリーヌ・ルペン氏率いる極右政党・国民連合(RN)に惨敗。マクロン氏の総選挙決定は、政治的な主導権を取り戻す狙いがある。だが、マクロン氏の戦略はリスクが高いとみる議員や当局者は多い。与党の敗北を決定的とし、同氏の経済政策を前進させる可能性を全てつぶすことになる公算の方が大きいばかりか、ルペン氏の集団に政府を明け渡すことすらあり得る。
こうしたリスクが11日の債券市場に伝わり、選挙結果が散々な場合には辞任する可能性をマクロン氏が協議したとの報道も不安に拍車をかけた。
マクロン氏はフィガロ紙とのインタビューで、選挙結果が大統領の地位に影響することはないと主張したものの、ドイツ債に対するフランス債の上乗せ利回りは2020年3月のパンデミック初期以来の水準に拡大した。
関連記事:
Ifopが11日公表した第1回投票の動向調査によると、ルペン氏のRNが35%の支持を集め、マクロン氏与党は17ポイント引き離され、欧州議会選の結果とほぼ一致した。ただ、第1回と第2回の投票の間に577の各選挙区で政党間の取引が活発化するため、フランスの選挙結果予想は極めて難しい。
それでも、世論調査の数字は与党議員の士気をそいでいる。第1回投票まで3週間もない中で選挙の準備が整っていない与党が挽回するには、マクロン氏が支援する必要がある。