「たまたま空いていた。珍しいケース」

武道館公演中止後初となるライブで、武道館への思いをステージで表現する「Ａｐｐａｒｅ！」（８月２５日、東京都渋谷区で）＝秋元和夫撮影

　関係者によると、日本武道館の公演は、日程の確保が難しいという。今回の振り替え公演の日程について、日本武道館業務課は「たまたま１月２９日が空いていた。珍しいケースだ」と話す。

　加納さんは、「振り替えが決まって、安心感が大きかったです。いつかわからない武道館公演を目指すとなると、メンバーの気持ちがもたなかったかも。関係者の方には感謝の気持ちでいっぱいです」。

　一度の中止も、前向きに捉えている。「中止がきっかけで、『Ａｐｐａｒｅ！』を知ってくれた人も多いように感じます」。振り替え公演のチケットは、様々な特典がついた一番高額なアリーナ前方席は５万円、一番安いスタンド席は２０００円にした。１月の公演で武道館使用料も再度発生しており、「正直、一日の公演で費用を回収するのは難しい。でも、ライブ中心のアイドルって、ファンと一緒に武道館を目指すことが多く、『Ａｐｐａｒｅ！』もそうです。ファンが友達を呼んでくれることもあり、出来るだけ安い価格にしました」。

「普段通りのステージで満員にしたい」

１月の武道館公演への思いを語る朝比奈さん＝秋元和夫撮影

　「天晴れ！原宿」時代からグループに在籍している朝比奈さんも、武道館公演に対する思いは強い。「純粋にうれしいです。思っていたより早く決まって驚きました。８月の武道館が決まったときには不安の方が大きかったですが、今回は待ちに待ったという感じです」と感慨深そうに語る。

　「初期メンバーは未経験者ばかりで、インフルエンサーがいるわけでもなく、ゼロからのスタートでした。お客さんを増やすのも大変で、何度もやめようと思いました。でも何も成し遂げていないと思って、踏みとどまってきました」とも明かした。

　朝比奈さんによれば、「天晴れ！原宿」結成時に、加納さんは「結成３年で、武道館公演を目指す。３年たって売れないアイドルは売れない」とメンバーに言っていたという。「でも８年かかりました」と笑うが、「日比谷野音でのライブを経験して、武道館でやりたいという思いが強くなりました」。