母子の関係に思いを馳せる 今秋公開の感動作3選。 “親の心 子知らず? 老いては子に従え?”果たして――。
◆母の生き方に胸を打たれる! 仕事に誇りをもち、損得勘定を抜きに馴染みの常連客のために尽くす母アールイの姿勢に、素直に尊敬の念を禁じ得ません。それは時代遅れだったり、損しているように見えるかもしれませんが、人間として、出来たら自分もそうありたいな…と思わされる美しい清々しさに満ちていて。訪問散髪に訪れた“先生”宅で、アールイの言葉によって“先生”の息子や娘が、それまで知らなかった父の姿や愛に触れるエピソードもとっても胸に響きます。 一方、ドラ息子に甘いと姉妹に責められます(姉妹の主張もすごく分かる!)が、母の脳裏にはやっぱり小さな頃からの息子の姿がいっぱい蓄積されているからこそ、信じたい気持ちや期待や愛情が色々と複雑に絡んでいるんだな、としみじみさせられました。都会でバリバリ働くスタイリストの長女を突然訪問するエピソードにしても……内容はここでは控えますが、やっぱり母親の愛だなぁ、としみじみ。その後、長女のその件については、ちょっと笑える展開もあるのですが(笑)! “無償の愛”という言葉には、個人的には何やら聖人扱いしているようで居心地の悪さを覚えてしまいますが、“母親という生き物”の業と愛の深さに、改めて敬意を覚えた映画でした。加えて、かのチェン・ボーリン(『藍色夏恋』が懐かしい!)が、謎の青年として登場するエピソードも、とっても味わい深くて必見です! ちなみに監督のお母様がモデルになっているそうで、実際にお母さんの理髪店で撮影されているそう。そこに漂うノスタルジックな空気や風情、昔ながらの人情味も大きな味わいポイントです! ▶3月8日(金)新宿バルト9ほか全国公開 (c) 2023 Bole Film Co., Ltd. ASOBI Production Co., Ltd. All Rights Reserved 9月20日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー 2023/台湾/106分/配給:ザジフィルムズ、オリオフィルムズ 監督・脚本:フー・ティエンユー 出演:ルー・シャオフェン、フー・モンボー、アニー・チェン、ファン・ジーヨウ、シー・ミンシュアイ *本日公休 公式HP あり