Aile The Shotaが語る、いま改めて「踊る」「ダンス」というテーマにフォーカスした理由
あくまでJ-POPを大事にした「踊れるJ-POP」を作りたい
―「ダンス」に関して今日はもう一歩踏み込んで聞くと、なぜそこまで「ダンス」という表現をShotaさんは大事にするのでしょう。自分のルーツを大事にしたいという想いや、仲間と上がっていきたいという気持ち以外に、もっと本質的なところで、なぜダンスというものが好きなのか――それは「踊りませんか?」で歌っていることでもあると思うんですけど。 そうですね。自分はヒップホップとしてのダンスも、表現方法としてのダンスも、音楽を聴いたときに無条件に踊ってしまうほど好きで。僕の人生はダンスで変わったので、ダンスにはそれくらいの力があるなと思います。広い意味でいうと、曲が鳴って身体を揺らすだけでもストレスが減るかもしれないですよね。あとは、憧れもあるかもしれないです。海外だと、ヒップホップやR&Bもポップスじゃないですか。日本のシーンももうちょっとその要素があったら、単純にやばいダンサーがもっと増えそうだし、エンタメを好きになる人がもっと増えるだろうなと思って。「踊り」は音楽を好きになる1個目のきっかけになると思うので。単純に、僕がもっとやばくなった日本のシーンが見たいという感情もありますね。 ―Shotaさん自身は、ダンスでどんなふうに人生が変わりましたか? なんでこんなにダンスが好きなんだろう、何が変わったんだろう……でも全部変わりましたね。考え方とかも。思慮深くなりました。何かを見るときに「浅い」「深い」を気にするようになったのはダンスのおかげかもしれないです。表現するということにおいて意義や意思が必要だと気づけたのは、ダンスから知ったヒップホップのおかげで。ただ音楽をやっているだけでは終われないなというマインドになって、音楽が何を表現するためにあるのかを考えるようになったのは、ダンスやヒップホップがきっかけです。もっと広くいうと、生きているうちに何をするべきなのかを考えるようになりました。視野が広くなったというか、達観するようになったのかな。そんな変わり方だと思います。あとは耳が変わりました。そうなると音楽の解像度が上がって、リスナーとしてめっちゃ楽しくなる(笑)。 ―TikTokに上げている「踊りませんか?」の動画は「好きに踊ればいいよ」っていう、みんなの日常に対するダンスのメッセージになっていると思ってて、逆にダンサーオーディションはダンスシーンの最前線に向かったもので、今両面からアプローチをしているのがいいなと思っていたんですよね。 Aile The Shotaの音楽をやっているひとつの意義が「日本中を踊らせる」だと思っていて、「踊りませんか?」では「音楽が鳴って身体が揺れちゃう」という意味の踊りをやりたくて。オーディションの「踊り」は、もっと本質的な、深いところにある「踊りが上手」な人を集めたいと思っているので、僕の中に混在してるものを同時に開催してる感じはしますね。オーバーグラウンドのポップスも大好きだけど、超コアなヒップホップとかも好きで、気づいたらその両軸をダンスにおいてもやれてるのが今かなっていう感じです。美しいことが起きている実感が強いです。 ―今のJ-POPのメインストリームの音楽に対して、Shotaさんはどんなことを感じていますか。 ビートの鳴りはやっぱり気になっちゃいますね。曲はめっちゃいいな、好きだなって思うけど、「踊れないな」と思うことはけっこうあります。USの音楽でそれはないんですよね。でも日本のメインストリームの音楽は今もずっと聴いてるし、めっちゃ好きですよ。ポップスを作ることがどれだけ難しいかを痛感しているので、「なんだよこれ、なんでこんなに難しいことやってるのにポップスになってるんだよ(笑)」って思うようなすごすぎる曲もあって、めっちゃ学びが多いですね。J-POPのかっこよさや美しさは消えないから、あくまでJ-POPを大事にした「踊れるJ-POP」を作りたくて、「踊りませんか?」はChaki(Zulu)さんとそれをちゃんとやれたと思います。