木村石鹸「自己申告型給与制度」に込めた会社の願い ただ「いる」ことに価値がある「being」も評価したい
大阪府八尾市に本社がある木村石鹸は大正13年創業の石鹸メーカー。伝統的な「釜焚き製法」を守り、2024年4月には創業100年を迎えました。 同社の社訓には「家族を愛し仲間を愛し豊かな心を創ろう」「チームワークを大切に笑顔で明るい職場を創ろう」など、社員たちが「こうありたい」と思う言葉が並びます。 木村石鹸とは、どのような会社なのでしょうか。自分の給与を自分で提案する「自己申告型給与制度」から、その様子を見てみましょう(本記事は4代目社長・木村祥一郎さんの著書『くらし 気持ち ピカピカ ちいさな会社のおおらかな経営』より一部を抜粋したものです)。 【写真】社員を温かく見守る4代目社長の木村祥一郎さん
この記事のシリーズ 【1本目】「仕方なく」家業を継いだ男性に起きた心境の変化 【2本目】木村石鹸「自己申告型給与制」に込めた会社の願い(本記事) 【3本目】「万人向けでない」と明言のシャンプー人気のなぜ 【4本目】木村石鹸「非効率な」固形石鹸づくり再開の物語 ■「beingの価値」が会社を強くする 木村石鹸では、自身の給与を自分で提案する「自己申告型給与制度」という、ちょっと変わった制度を採用しています。 この自己申告型給与制度では、未来に対しての自分の貢献内容と、その貢献内容に見合う給与額を社員一人ひとりが自ら提案します。となると、給与額を上げるには、何か新しい取り組みや新しい役割を提案しないといけなくなる。
でも、新しい取り組みをするでもない、新しい役割を担うでもない、今やっていることを続けていくだけ、つまり、ただそこに「いる」ことに価値がある人もいるんじゃないかと思うんです。 その人がいるだけで場の雰囲気が和んだり、心理的安全性が高まったり。そんな人には誰もが気軽に相談できるので、組織の問題やトラブルに早く気づける。 その結果、スムーズに仕事ができ、離職率も下がる。こういう価値を、僕は「being(ありのまま)の価値」と呼んでいます。ただ「いる」ことに価値がある人って、組織には必ずいるのではないでしょうか。