“天才少女”と呼ばれた水泳界の逸材が24歳で引退「パリ五輪に行けなかったら辞める、と決めていた」今井月が告白した“決断の理由”
“引退”を告げた家族の反応は…
進退について誰かに相談することはなかった。 「水泳をやっていたときから仲良くしてくださっていた選手や選手時代から交流がある方に、今の自分の気持ちを聞いてもらうとかはしていましたが、特に誰かに言われて決めるタイプじゃないので。大学の同期でいちばん仲良くしていた竹村花梨ちゃんという友達が、電話で『どんな形でもいいから、後悔しないなら何だって応援するよ』と泣きながら言ってくれて、ちょっと落ち込んでいるときも一緒に韓国にも旅行に行ってくれて、うれしかったです」 競技生活を応援し続けてくれた家族もまた、今井のスタンスを尊重してくれた。 「父も兄も、私が今後のキャリアに真剣に向き合っている姿を見て、もしかしたら水泳をやめてしまうかもしれないという寂しい思いを抱えながらも、アドバイスをくれたり素直に応援してくれていたと思います」
テレビで観たパリ五輪
夏にはパリ五輪が始まり、今井は中継を観たという。 「スケートボードの若い選手たちはリアルタイムで観させてもらいました。本当に大きいプレッシャーを背負ってるんだろうなと思いながら、でも全然そんなふうに見えない試合を見せてくださって、なんかいいなって思いました。すごく楽しそうに競技をやっているのを見て、自分もこのぐらい若い頃はすごく楽しかったなとか思いながら見ていましたね」 目指していた大舞台の光景にも、心が揺れることはなかった。 「ここに出たいとか、また行きたいみたいな感情は正直なかったです」 悔いのない決断は、次の世界へ飛び込むことを意味する。 就職活動に打ち込む今井には、新たに身を置きたい分野があった。それは競技生活ともつながっていた。《インタビュー後編に続く》
(「オリンピックへの道」松原孝臣 = 文)
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