何かと物議を醸した「LUMIX S9」、触ってみるとイマドキの機能がうれしいフルサイズ機だった
発表直後から何かと物議を醸したカメラ、パナソニックの「LUMIX S9」(以下、S9)が、無事発売された。 【画像35枚】なんとアクセサリーシューに電気接点がないのだった(コールドシューという) S9は、四角くて小さくて非常にミニマムでイマドキのフルサイズセンサー機としては価格を抑えたカメラだ。製品サイトのストックフォト騒動はあったものの、S9自体には物議を醸しそうな点があるようには見えない。 ただ、そのコンセプトを追求するあまり、意外なところがそぎ落とされていて、そこにひっかかった人がいたのだ。特にメカシャッターがなく電子シャッターのみであることと、アクセサリシューがコールドシュー(つまり、電気接点がなく、外付けのフラッシュが使えない)なのは私もちょっと驚いた。 外付けのフラッシュが使えないシューに何を付けるんだというと、マイクやLEDライトだろう。ちなみにソニーの「ZV-E1」もメカシャッターはないし、画素数も少ないけど、あれは動画に全振りしたVLOG用カメラという位置付けだった。 S9は動画に振りきった作りではないことや、Sシリーズのユーザーがちょうど「コンパクトな製品も欲しい」と思っていたところに登場したので「期待してたものと違う~」となったんじゃないかと思ってる。 そんなミニマムなS9はカメラとしてどうなのか。 ちょいと使ってみた。
「S5 II」譲りの基本性能の高さ
S9は正面から見ると分かるとおり、四角くてコンパクトなボディのフルサイズセンサー機だ。グリップ部のでっぱりはなくフラットで、Lマウントの直径がけっこう大きいのでほぼマウント、という感じ。 サイズ感は、シグマの「fp」よりちょっと大きく、ソニーの「α7C II」と同じくらい(ただグリップがない分厚みはないけど)。超コンパクトデジタル一眼の仲間だ。 センサーは約2420万画素。ボディ内手ブレ補正は約5段。S5 IIと同じく像面位相差AFに対応している。 メカシャッターレス……つまり電子シャッターのみなので高速な被写体を撮ったときのローリングシャッター歪みが気になるところだけど、ゆがみ具合はS5 IIと同等だった。それなりに歪むけれども、そもそもそういう動きものを撮るカメラではないのでそれほどの欠点ではないかな。 連写も最高で秒30コマでプリ連写にも対応するなど高性能だが、超高速モードで36枚までと「連写上等」の仕様ではないのが分かる。 ISO感度は、最高でISO51200まで。拡張ISO感度としてISO204800まで上げられる。使ってみた感じだとISO25600までならかなり使えそうで、高感度には強い。S9に似合う小型軽量系のズームレンズは開放F値が大きいものが多いので高感度に強いのはいい。 ただ暗いとAFは遅くなる。 では使用感の話もまじえつつ、撮影だ。カメラの起動はちょっと遅め。電源を入れてから画面が出るまでワンクッション置く感じだ。 最初に装着するのは、ユニークな26mmF8のパンケーキレンズ。発売記念キャンペーンとして、9月1日までに購入し、応募した人はもれなくもらえるので忘れないように。 これをつけると超軽いスナップ撮影セットとなる。レンズキャップ代わりに普段から付けておいてもいい。 絞りはF8固定でMFだが、だいたい3~4m以遠ならパンフォーカスになるので風景を撮るときはさほど気にしなくてよし。フォーカスがちゃんとあった時のクオリティは高い。 近距離の時は、拡大表示やピーキング表示を使えば老眼の人はつらいかもだけどさほど苦労せず使えそう。 操作系は非常にシンプル。ダイヤルが2つ(しかも1つはロータリーダイヤル)だし、また右手親指を置くところにボタン類が並ぶのであれこれ設定しながら撮影したい人にはちょっと窮屈だ。 本格的に写真を撮るならSmallRigから出ているグリップを付けたい。 背面モニターはバリアングル式だ。 さすがに26mmMFレンズだけではちょっと、という人には標準ズームレンズキットにもなっている「LUMIX S 20~60mm F3.5-5.6」がいい。超広角から標準までのズームレンズだ。 ちょいと撮ってみる。 20mmまでの広角はいらない、という人でも、手にもって動きながら動画を撮るならあった方がいい。動画撮影時に強い手ブレ補正をかけたり「ブースト」するとぐっと画角が狭くなるから。 ただ望遠側が60mmなのは足りないと思う人も多かろう。かといって、大きく重いレンズだとボディとのバランスがよくない。