愛知・津島を知って撮って 市が賞金100万円の写真コンテスト
愛知県名古屋市の西部に位置する人口約6万5千人を擁する津島市が、同市内の町並みや寺社仏閣、自然の景色、人物などを写した作品を対象とした写真コンテストを開催している。審査委員長に写真家の浅井慎平氏を起用し、グランプリ賞金が100万円と地方自治体が主催するコンテストとしては異例の力の入りよう。関係者は「津島市の魅力を全国に知って頂きたいという熱意からでは」と話しており、現時点で応募は全国から約140点あるなど、プロ・アマを問わず注目を集めている。
歴史の魅力、地元は当たり前過ぎて見逃している
津島市は、中世は湊町として、また「西の祇園社」東の「津島社」と呼ばれる全国に約3000の摂社・末社をもつ津島神社の門前町として栄えてきた。 祭りも盛んで、毎年春には「藤まつり」、夏になると、600年以上の歴史をもち織田信長も見物したと伝わる川祭り「尾張津島天王祭」を開催。また国の重要文化財にも指定される「堀田家住宅」などの文化財などが点在し、歴史と文化の薫る都市としても知られている。 愛知県といえば最近、観光PRに松平健を起用した動画が話題のように、歴史・自然・文化・食といった観光資源が豊富。そんななか県内の地方都市でも、存在感を高めるさまざまな策が講じられている。 今回の「2015 REDISCOVERY TSUSHIMA写真コンテスト」もその一環。事務局の奥谷さんに話を聞くと、「津島市は、お祭りの日には多くの観光客の方がいらっしゃいますが、通常の日は閑散としている。人口6万人ほどの町で大きなお祭りが年に4回もあり何百年と続いているのは、全国でも珍しい。お祭や歴史、抹茶文化などが残っていても、津島の人には当たり前過ぎて見逃している」と現状を話してくれた。
市でも前例ない賞金、全国に知ってもらいたい思い
コンテストの審査委員長は浅井慎平氏が務め、グランプリ1作品には賞金100万円が進呈される。地方自治体の試みとしては破格とも思える写真コンテストについて、奥谷氏は続ける。 「市外の人に津島に来ていただき、新鮮な視点で祭以外にもある津島の良さを写真に収めていただきたいと思っています。グランプリ1作品に賞金100万円を設定したのは、通常の写真コンテストでは目立たない、全国の人に津島市を知っていただく目玉としてです。浅井慎平さんは愛知県瀬戸市出身ということもあり、審査委員長を快諾していただきました」 地方自治体にとって100万円の予算を確保するのは相当な苦労があったと予測される。そのあたりを奥谷さんに聞くと「詳しいことは私には教えてもらえませんでしたが、津島市の中でもこのような賞金は前例もなく、また高額なためさまざまな意見もあったと思います。それでも最終的には、津島市を全国に知っていただきたいという担当課の方々の熱意で実現出来たと思います」