市場参入から丸4年…楽天モバイルの現在地 “競争と共生”で成される「携帯市場の民主化」への道、鈴木CEOに聞く
2020年に「携帯市場の民主化」を掲げ、携帯キャリア事業に参入した楽天モバイル。本格サービスの開始から本日4月8日で丸4年。携帯市場を取り巻く環境もこの4年間で劇的な変化を遂げ、さまざまな課題に直面しながらも“第4のキャリア”として市場に正しい競争原理をもたらしたことは間違いない。ORICON NEWSでは、同社共同CEOの鈴木和洋氏に独占インタビューを敢行。この4年間の総括、そして、自身が掲げるインクルーシブな社会構造を携帯市場においてどのようにコミットしていくのか? 話を聞いた。 【写真】楽天役員が揃い踏み! 楽天ユーザーの声に真剣な表情で聞き入る三木谷氏 ■OTT企業で通信インフラ事業に打って出たのは世界初の挑戦 ――鈴木CEOは、1983年に日本IBMに入社。その後も日本マイクロソフトやシスコシステムズなどを経て、22年4月から楽天グループに参画されました。鈴木さんの世間的なイメージでいうと、IoTという分野での日本におけるイノベーターの1人という部分が強いと思います。そんな鈴木さんが外側から見た楽天グループ、そして内側から見た楽天グループについてお聞かせください。 【鈴木CEO】2017年に携帯キャリア事業に参入するという話を聞いたとき、私はシスコシステムズにいました。通信機器を提供する側の人間だったのですが、当時すごくビックリしたのを覚えています。通信事業はいわゆる社会インフラ事業ですが、基本的に新規参入はほとんどない。それは2つの要因があります。1つは社会インフラ事業において規制が非常に多いこと。2つ目は、初期投資がものすごくかかるということ。楽天のように、どんどん新しいことを開拓していくような企業には、いささかマッチしないのでは?と、“外側”にいた際の視点では思えたので、驚きは隠せなかったです。 ――先ほど鈴木さんも仰っていましたが、携帯市場に新規参入はありえないというのが定説となっていました。だからこそ、夢物語のように聞こえたし、懐疑的な目で見ざるを得なかった。ましてや、前職で通信機器を提供していたのであれば、尚更“ことの重大さ”を実感しますよね? 【鈴木CEO】そうですね。機器の提供側からすると、本当に驚いた。同時に挑戦をする企業なんだなと感じたことを覚えていますね。それまでにも楽天が挑戦し続けてきたことは知っていましたが、携帯市場にまで挑戦するのかと衝撃を受けました。 ――参入障壁は相当なものだったと思いますし、過去に例の無いことだった? 【鈴木CEO】コンテンツやサービスを提供する企業のことをOTT(オーバーザトップ)と言って、GoogleやAmazon、Metaなどが代表的です。楽天もOTTのうちの1つですが、そこから通信インフラ事業に打って出る企業は、世界中を見渡しても1社もなかった。つまり、世界で初めての挑戦だったと思います。通信インフラ事業がコンテンツやサービス事業に拡大していくのはよくあるのですが、その逆は想像も出来なかった。