市場独占の民間細胞バンク「売り上げ3倍増はもう見えた」
ステムセルではさい帯血を保管する事業を行っている(写真提供:ステムセル研究所)
上場から1年。生まれたばかりの赤ちゃんのさい帯血を有料で保管するステムセル研究所(7096)は、日本の民間細胞バンク市場での新規保管数シェア99.9%、市場を事実上独占するニッチジャイアントだ。 さい帯とはへその緒のことで、その中にある血がさい帯血になる。「赤ちゃんやその家族が病気になった時、再生医療など何らかの治療にその保管細胞が使える可能性がある」(同社の清水崇文社長)のが保管の目的で、新生児の家族が顧客となる。 産婦人科病院などが妊婦を集めて開催し、体調管理や栄養指導を行う「母親学級」にて、さい帯血保管の重要性を社員がアピールして細胞保管の契約に結び付ける。王道だったこのマーケティング手法がコロナの拡大で制限され、前々期の2021年3月期は大幅減益に沈んだ。 しかし上場後初の本決算だった前2022年3月期の業績は、売上高が17億8100万円(前期比26.4%増)、営業利益が2億2600万円(同2.6倍)と期初計画を超す好調ぶり。わずか1年でV字回復を果たした。 再成長の理由、中長期での展望を清水社長に聞いた。
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大西 富士男