2025年春夏パリコレ開幕 「CFCL」と「ヴァケラ」が見せた新たな挑戦
「CFCL」はより感覚的なクリエイションで新たな一歩
前回はパリコレ公式スケジュールで初めてショー枠に選ばれたということもあり、コンピューター・プログラミングに向き合うブランドらしさをストイックに見せた「シーエフシーエル(CFCL)」だったが、今季はより直感的にコレクションを制作。“ニットウエア ハンドビルト(Knit-ware Handbuilt)“をテーマに掲げ、手捻りで器を作り出すようにニットウエアの可能性を探求した。「パリコレでショー発表をするには、華やかな気持ちや心踊るような気持ちを大切にしないといけない。そのためには、『CFCL』がこれまで作ってきた“かっちり“とした定義の外側にチャレンジする必要があった。そこで、今回は伝統的な染めや手仕事を交えて、コンピューター・プログラミング・ニットが生む実用的な服から少し離れようと思った」と、高橋悠介クリエイティブ・ディレクターは振り返る。結果生まれたアイテムからは、これまでよりも自由なムードと実験的なアプローチが感じられた。
アフリカなどの平面的な民族衣装からインスピレーションを得たドレスやトップスは、3Dコンピューター・プログラミングの技術を2Dの無縫製ニットに活用して制作。あえて作った余白の部分が飛び出たり垂れたりして、新しいシェイプを生んでいるのが印象的だ。伝統的な「注染」や「イカット」から着想を得た染色技法を用いて、カラフルな柄を描いたアイテムも新しい。また、華やかなフリンジのドレスやスカートは、ホールガーメントでアイテムを作る際にあらかじめプログラミングでいくつもの小さな穴を開けておき、その一つ一つに手作業で同素材のニットで作った短冊状のパーツを通して取り付けたもの。機械を使わずに棒針で編んだレース状の有機的なモチーフをつなぎ合わせたパッチワークドレスもあり、これまで以上に手仕事の素朴さや温かみを感じる。アイコニックな“ポッタリー(POTTERY)“のシルエットは、ミニスカートやベビードールドレスなどにアレンジすることで、アクティブな軽やかさやガーリーなムードが加わった。