【ヒョンデ・アイオニック5長期レポート2】5Nと比較試乗。癒しカー対爆笑マシン!
新EVスポーツ像へのトライに満ちた最高の玩具
まあ、疑似サウンドってなによと、エンジン愛好家からは批判的な声もあがるだろう。ゲームじゃあるまいしと。しかし最初から心にシャッターを下ろしてしまうのはもったいない話で、これは新たな乗り物として、非常に面白いものとなっていることをまずはご理解頂きたい。 そして見逃せないのは、各部からクルマ好きの匂い、もっとストレートに書けば、サーキット走行好きのオタク臭が漂ってくることだろう。 走行状況に応じてバッテリー温度を設定できるNバッテリー・プレコンディショニング、スプリントとエンデュランスモードを用意したNレースと呼ばれるエネルギーコントロールシステム、フロントとリアのトルク配分を自ら調整できるNトルク・ディストリビューション……。 設定するものが多すぎて、試乗期間中に全貌を理解するのは難しいと感じるほどで、新しいEVスポーツ像へのトライに満ちた、まさに最高の玩具と言えるのではないか。 取材後ひとりアイオニック5に戻ると、4点シートベルトから解放されたような緩やかな優しい空間が待っていて、"癒される……"と思わず呟いてしまった。 アイオニック5は、デザインも乗り心地もどこか肩の力が抜けていて、乗る人たちにいい意味で刺激を与えない。ホイールベースは3mもあるし、車重も2トン越えと、サイズ的には決して軽快なクルマではないけれど、決して鈍重ではなく、パワー不足を感じる場面も特にない。その重さがクルマに落ち着いた雰囲気、キャラクターを与えている。 対決なので結論を書けば、2台ガレージに並べて、その日の用途によって選ぶが正解だと感じた。
平井大介(執筆/編集) 花村英典(撮影)