【ホンダ新型フリードに試乗】 設計思想に見える優しさも 異例のロングセラーを続けるモデル
走りの違いを提示するホンダらしさ
では走りはどうか。取材会では現行型のハイブリッド、新型エアーのハイブリッド、新型クロスターのガソリン車という順で乗った。 現行型のハイブリッドシステムはDCTを使っているためもあって、変速しながらの加速が小気味よく、減速したいときに選ぶSレンジはギアを落として回転を上げるという仕掛けなのでスポーティではあるが、耳障りに感じることもあった。 それに比べると新型は、低中速では基本的にモーターで走るので、圧倒的に静か。変速がないのでシームレスでもある。とりわけ減速時に使うBレンジは、エンジンは回さず、回生ブレーキを強める方式となったようで、静かさが際立っていた。 フリクションロスや剛性バランスに気を配ったというプラットフォームは、明確な違いを感じた。乗り心地は荒さがなくしっとりしているのに、操舵に対する反応はカチっとしていて、操る楽しさが感じられる。 当日は雨模様だったが、現行型ではトラクションが抜けがちだった上りコーナー立ち上がりも、しっかり接地して加速していった。 最後に乗ったクロスターのガソリン車は、軽やかなエンジンサウンドが印象的。ホンダらしさを重視するなら、こちらもありだと思った。 車両重量はハイブリッド車より約100kg軽いそうで、乗り心地は路面の感触をはっきり伝えるようになり、コーナーでは軽快感が目立つ。ただし水たまりでの安定感は、ハイブリッド車のほうが上だった。 ガソリン車とハイブリッド車の走り味をそろえてくるクルマは多い。しかし新型フリードでは、重量差をあえてキャラクターの違いとして表現したとのこと。 実用性重視のコンパクトなミニバンで、走りの違いを提示してくるのはホンダらしいと思った。
判明している新型フリードのスペック
全長×全幅×全高:4310×1695(1725)×1755mm(値はクロスター) 駆動方式:FF/4WD 使用燃料:ガソリン タイヤサイズ:185/65R15(フロント)185/65R15(リア) ・ハイブリッド エンジン最高出力/最大トルク:106ps/13kg-m モーター:123ps/25.8kg-m ・ガソリン エンジン最高出力/最大トルク:118ps/14.5kg-m
森口将之(執筆) 小川和美(撮影) AUTOCAR JAPAN(編集)