陸上の為末大氏がJリーグ理事に就任。論客を招く狙いとは?
世界陸上の男子400メートル障害で銅メダルを2度獲得し、競技に打ち込む高潔な生き様から「侍ハードラー」の異名を取った為末大さん(39)が、Jリーグの理事に就任することが内定した。 東京・文京区のJFAハウスで27日に開催されたJリーグの月例理事会で承認されたもので、3月27日に予定されているJリーグ社員総会および同臨時理事会をへて正式に決定する。 2012年6月の現役引退後は陸上というジャンルを飛び越えて、スポーツが社会で果たす役割をテーマにさまざまなメディアで持論を発信。独自の活動を展開してきた為末さんとサッカー界を結びつけたのは、すでに3期目の続投が決まっているJリーグの村井満チェアマン(58)だった。 「僕は為末さんのパネルディスカッションや講演をかなり聴きにいっていたので、もう3年、4年といいますか、以前から彼のことはよく知っていました。逆に僕がパネリストで出席していたある会議を、彼が聴いていたこともありました。じっくりと一緒に仕事をしてきたわけではありませんけれども、その意味では大変親しくコミュニケーションを取らせていただいていました」 理事会後に記者会見に臨んだ村井チェアマンは、為末さんの深い考え方に触れたことが、6枠ある社外理事 (非常勤)の一人として迎え入れるきっかけになったと明かした。 「スポーツ界では一人の論客として、さまざまなメディアでオピニオンリーダーを務めています。スポーツ界のみならず、日本の社会全体をどのようにしていくのか、人格形成や人材育成をどのようにとらえていくのかという点に関して大変深い見識があり、僕自身、いつも学ばせてもらいました。今回ぜひということで、お迎えできることとなりました」 2014年1月に第5代チェアマンに就任した村井氏は、多用で難易度の高い課題が増している当時のJリーグを取り巻く状況を受けて、それらを打破していくためのプロフェッショナルなメンバーが理事会に必要だと判断。異なるフィールドから積極的に人材を登用した。 たとえば就任早々に女子マラソンで一時代を築いたレジェンドで、1992年バルセロナ五輪で銀メダル、1996年アトランタ五輪では銅メダルを獲得した有森裕子さんを非常勤の社外理事として招へい。メジャーリーグも経験した元プロ野球選手で、柏レイソルのファンとしても知られる小宮山悟さんらとともに、原則毎月第3火曜日に開催される理事会への皆勤を要望している。