歴史に残る一戦を見事に制したのは、世界に誇る日本のフラットランド界の神童である片桐悠【FLAT ARK 2023 in 阪神甲子園球場】
今回、阪神甲子園球場の特別協力の下「阪神甲子園球場100周年記念事業」としてBMXフラットランド種目の世界大会【FLAT ARK 2023 in 阪神甲子園球場】が兵庫県西宮市の阪神甲子園球場グラウンド内にて、2023年12月23日(土)~12月24日(日)の2日間にわたって開催され、男子では片桐悠選手が、女子は本村果鈴選手が優勝し世界チャンピオンの座を獲得した。 今年10周年を迎える本大会には、世界17か国から130名あまりが出場し、全5カテゴリーにて老若男女問わず世界最高峰のBMXフラットランドライダーにて熾烈な戦いが繰り広げられた。そして今回からは「Men’s OPEN」だけではなく「Women’s OPEN」も開催されたことから男女両カテゴリーでの世界チャンピオンが決まる10周年に節目にふさわしい大会となった。 そんな記念すべき大会の舞台となったのは日本野球の聖地「阪神甲子園球場グラウンド内」。前代未聞となる会場での開催に、来場したお客さんや出場ライダーたちは終始興奮冷めやらぬ状態。野球界で数々の歴史的な熱戦が繰り広げられたグラウンド上に「FLAT ARK」の特設ステージが設置され、2日間に渡って終始大盛り上がりの中で今大会は開催された。 以下は、世界チャンピオンを決める戦いとなった「Men’s OPEN」と「Women’s OPEN」の決勝戦の大会リポート。
特別フォーマットにより降りかかるプレッシャーの中、世界最高峰の強豪選手をねじ伏せる「9 Over」を叩き出した片桐悠。
12月の寒さが身体にこたえる一方で、会場は晴天で天候にも恵まれ、キリッとした空気の中で繰り広げられた今大会最高クラスMen’s OPENの決勝戦。今回、世界中から集まった38名のトップライダーの中から予選を勝ち上がった8名に加えて、過去大会で入賞経験のあるシード選手2名を含めた計10名で優勝争いが行われた。 なお今回のMen’s OPEN決勝の特別競技フォーマットは、60秒間のソロラン1本+30秒間のベストコンボ6本の合計7本のうち、上位スコア3本の合計得点により順位を決める形となり、1本あたり最大10点の最高30点満点でジャッジされた。 今年の夏の「YUSF FLAT ARK 2023」と同様の競技フォーマットであり、ベストコンボに関してはライディング中の転倒を含め足をつく動作や時間内にルーティンを終えないと0点になるシビアなルールから、高難度ルーティンを短い時間の中で決め切ることが求められ、選手たちにとっては厳しい戦いとなった。 そんなプレッシャーを跳ね除けて、見事この戦いを制したのは「X Games Chiba 2023」の金メダリストであり、世界中のBMXライダーたちが選ぶアワード「NORA CUP」にて今年のフラットランド種目の最優秀選手賞を受賞した片桐悠。 60秒間のソロランではリアタイヤを軸にしたスピンを中心に、回りながら手足のポジションを入れ替えてはバランスの取りにくいペダル軸でのトリックを展開。途中ではスピンしながらも一時的に両足が離れる「舞空術」という高難度のリアトリックをルーティンに盛り込み、終盤には身体の内側で抱えた状態のバイクを横に回す「ジャグリング」にトライするも最後までまとめきれずミス。それでもルーティンのレベルの高さが評価され8.3ptをマークした。 その後のベストコンボでは1本目で彼のオリジナルでもある「フルバイクフリップ」からの「ジャグリング」、そして様々なポジションに切り替えながらの「バックスピン」で綺麗に決め8.9ptをマーク。 2本目と3本目では同じルーティンへの挑戦にミスが続くも、4本目でしっかりリベンジ。リアトリックでペダル軸の「ロープアローニ」での加速から、バイクを元の向きに戻すのと同時に両足でペダルキャッチし、「マニュアル」の体勢でスピンを加えながらまた片足でペグ軸のスピンに戻りフィニッシュという今まで見たことのないルーティンを見せた。 片桐本人もようやくメイクできたこのコンボに両手でガッズポーズをして喜びを露わにしていた。そんな彼のコンボには今大会唯一の「9 Over」である9.0ptがスコアされ会場も今日一の盛り上がりを見せた。 その後、5本目と6本目では更に得点を伸ばすべく新たなルーティンにトライするも残念ながらメイクとはならなかった。しかし9.0ptと8.9ptのスコアが大きく得点を伸ばしたことで3本の合計26.2ptがトップスコアとなり見事優勝を収めた。
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