輪島塗漆器販売、義援金に 富士見町内の3店舗で30日から順次 長野県
能登半島地震の被災地で、損壊した家屋から掘り出した輪島塗漆器を販売して被災者の生活再建金に充てる「輪島塗漆器販売義援金プロジェクト」が、30日から順次、長野県富士見町内の3店舗で実施される。4月から全国規模で行われている活動で、金沢市出身のインタープリター(自然観察員)の川村悦子さん=同町=が、「離れていても支援できること」として開催。展示や食事を通じて漆器に親しみ、質感などを楽しんで購入の参考にしてほしいと来店を呼び掛けている。 プロジェクトは被災地でボランティア活動をする新潟県の山田修さんが代表となり、持ち主の許可を得て漆器を通信販売して売上金を渡す活動。輪島塗漆器は石川県輪島市で江戸時代から技法が確立された伝統工芸品で、1977年には国の重要無形文化財の指定を受けている。先祖代々から伝わった漆器は現代でも正月などで使われているという。 全国のイベントなどで取り組みが広がる中、川村さんは9月に帰省した際にプロジェクトに関わっていた友人から内容を知り、町内でも支援の輪が広がって被災者の一助になればと実施を検討。故郷の思いを受け継ぎ、企画に賛同した店舗の協力を得て実現した。 実施店舗は同町立沢の「小さな食堂 山ひこ」(30日、12月1日)、JR富士見駅前商店街の「朝喫茶ちっと」(同4日)、信濃境駅前の「禾々(かか)」(同5、6日)。それぞれ店内に輪島塗漆器の家具膳一式を展示し、見たり質感を肌で感じたりできる。山ひこは安納芋を使ったきんつばときんとんを、ちっとは寒天のデザートを漆器に置いて提供する。 職人の手によって作られ続けている輪島塗漆器。輪島市から離れている諏訪地域でも、復興支援のきっかけになればと川村さんは思いを巡らせている。「伝統が続いていくためにも、漆器に触れてプロジェクトについて考え、思いがつながっていけばうれしい」と話している。 山ひこは午前11時30分~午後3時、ちっとは午前10時~正午、禾々は午前11時30分~午後4時に実施。展示だけの来店もできる。漆器の購入などは二次元コードから。