3試合連続逆転勝ち 東北、左右二枚看板で接戦に強み センバツ出場校紹介
春夏の甲子園に過去41回出場の名門が春の聖地に戻ってくる。12年ぶり20回目出場の東北(宮城)は、昨秋の宮城大会の決勝で昨夏甲子園優勝の仙台育英を撃破。東北大会は準決勝までの3試合を全て逆転勝ちした。昨年8月に就任した元巨人でOBの佐藤洋監督も「夏には誰もセンバツに出るなんて思っていなかった。高校生の成長ってすごい」と驚く快進撃だった。
投手の左右二枚看板がけん引
東北は昨年9月の秋季宮城県大会で12年ぶり33回目の優勝を果たした。決勝では、夏の甲子園で東北地区初の全国制覇を遂げた仙台育英を2―1で破り、自信を付けた。 県大会は6試合でわずか2失点。10月の東北地区大会も、140キロ台半ばに及ぶ速球が持ち味の大型右腕・ハッブス大起(2年)と、制球良く変化球を駆使する左腕・秋本羚冴(2年)を軸に、接戦を勝ち上がった。 米国人の父と日本人の母を持つハッブスは、187センチの長身から投げ下ろす最速145キロの直球が持ち味。同校の先輩・ダルビッシュ有(パドレス)に憧れ、米大リーグでの活躍を目標に掲げる。リリーフの軸となる秋本は、昨秋の全10試合で30回3分の1を投げ防御率0・00と驚異の安定感を見せた。直球の最速は130キロ程度だが抜群の制球力を誇り、スライダーやカーブ、チェンジアップを交えて凡打を量産する。
「臆せず、伸び伸びと」
聖光学院(福島)との準決勝は、4番・佐藤玲磨(2年)に続いて大竹響(2年)、金子和志(2年)が本塁打を放ち、打線も存在感を示した。決勝は仙台育英に3―6で敗れて県大会の雪辱を許したが、最後まではつらつとしたプレーを貫いた。主将の佐藤響(2年)は「厳しい試合でも、一人一人が強い気持ちで戦い抜ける。そういう粘り強さを培っていきたい」と話す。
昨年8月に就任した佐藤監督は社会人の電電東北を経て、巨人で内野手としてプレーした。「選手を信じ、その可能性を引き出す野球をしよう」をモットーに、チーム作りを進めてきた。臆せず、伸び伸びとプレーし、そこから成長をつかみ取る――。そんな新しい東北野球を、甲子園で披露する。