1月20日から冬の最後の節気である『大寒』。寒さがピークを迎えるこの時期、とくに注意が必要な身体の部位とは…二十四節気別<暮らし方><養生><旬のもの>
「二十四節気」とは中国で誕生した旧暦(太陰太陽暦)で、1年を約15日ごとに24等分した季節の名称のこと。この連載ではその二十四節気に沿った過ごし方や備え方、旬の食材を、漢方コンサルタントの櫻井大典さんが紹介します。「二十四節気は不調を防ぎ、日々をより豊かに過ごすための“知恵”の結晶」と語る櫻井さん。今回紹介する季節は「大寒(1/20~2/3頃)」です。 【イラスト】気や血を補い、疲労を回復させて身体を元気にしてくれる!この時期に食べたいものとは… * * * * * * * ◆大寒(だいかん) 1/20~2/3頃 寒さが1年のうちでもっとも厳しい時期。 冬の土用(1月17日~2月3日頃、立春の前日までの約18日間)に入っており、この頃の行事としては、正月の祝い納めの「二十日正月」があります。 冬の最後の節気で、春に向かっているとはいえ、体感的には寒さのピーク。 太陽の「陽気」で身体の冷えを癒やしつつ、動物の“冬眠”のように、栄養とエネルギーを蓄えるような、“準備と守り”の養生をしていきましょう。
◆中医学的 大寒の暮らしかた ・心と身体の状態 1年で、寒さがピークを迎える頃です。この寒さのために、こころも身体もこわばってしまい、気血のめぐりの良くない状態に。 中医学では人間の上半身を「陽」、下半身を「陰」と捉えますが、季節でいうと秋冬は「陰」。つまり、冬であるこの時期は「陰」である下半身がとくに冷えやすくなります。ちなみに、春夏は「陽」ですから、「陽」である上半身に熱がこもりやすくなります。 冬は五行(注1)の「水」の季節、五臓(注2)では「腎」の季節でもありますから、水による冷え――とくに、腎の管轄である足腰の冷え――に注意が必要になります。 (注1)中医学の考えで、「木・火・土・金・水」という5種類の構成要素のこと。互いの性質を助け合ったり制約し合ったりして、バランスを保っています。 (注2)中医学の考えで、「五行論」に基づく「肝、心、脾、肺、腎」の5つを「五臓」といいます。いわゆる「五臓六腑」の五臓にあたります。 ・起こりやすい不調 冷えから血(けつ)(注3)のめぐりが悪くなり、いわゆる肩こり・首こり・足腰などの痛みなどに悩まされる人が多い時期です。そして、この頃には足腰の冷えから下痢や膀胱炎になる人も……。 膀胱炎自体は細菌感染による病気ですが、中医学では冷えによって気血の流れが悪くなって痛みが生じると考えます。加えて、冷えによって冬にいたわるべき腎が弱るため、頑張れなくなります。 メンタル面では引き続き、寒さもあいまって内向的になり、塞ぎがちになりやすいでしょう。 (注3)中医学において「血」は、身体に栄養と潤いを運び、メンタルの安定にも作用する液体です。