2024年4月改正法施行、障害者差別解消法:ウェブアクセシビリティ義務化ではないが、どうすべき?
見過ごされがちな発達障害の人の困りごと
続いて、Ledesoneの常岡氏が発達障害のケースを紹介した。常岡氏も発達障害の当事者で、代表を務めるLedesoneでは、インクルーシブデザインの支援を行っている。 なお発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達の凸凹(でこぼこ)と周囲の人や環境とのミスマッチにより生きづらさや困りごとが生まれる障害のこと。ASD(自閉症スペクトラム症、広汎性発達障害)、ADHD(注意欠陥・多動症)、LD(限局性学習症)の3つがあり、ケースは少ないが知的障害を併発する場合もある。
ASD、ADHDの特徴を抜粋すると次のようになる。
LDは、読字障害(読みづらい)、書字障害(手書きがしづらい)、算数障害(数の概念が理解しづらい)といった特徴がある。 常岡氏は、障害当事者の困りごとについて、障害を分類しながらケースを紹介した。 ■ [お困りごと(1)] 文字量の多さや表現方法、フォント・行間による困りごと □ ASD・知的障害 ・長文の文章だと集中力が切れることがある ・比喩表現が用いられると間違った理解をしてしまうことがある ・複雑な情報や言語の理解が難しい場合がある □ ADHD ・トピックに関係ない情報が記載してあると気が散ってしまうことがある □ 読字障害 ・「明朝体」などフォントによっては認識が難しい場合がある ・行間が狭いと読み飛ばしをしてしまうことがある ■ [お困りごと(2)] アニメーションや音声などの動きのあるサイトの困りごと □ ASD ・聴覚過敏の特性で急に音声が流れるサイトなどではストレスを感じることがある □ ADHD ・気が散りやすいため動きがあるとみたいコンテンツに集中できないことがある □ 読字障害 ・文字を認識するのに時間がかかるため読んでいる間に動くと認識がしづらくなる ■ [お困りごと(3)] 色やコントラスト・レイアウトに関する困りごと □ ASD ・視覚過敏の特性により色の多いサイトだと疲れてしまい離脱してしまうことがある ・ウェブサイトのレイアウトが変更されると、変化に対応しづらい ・日常的に閲覧するサイトほど変化に対応しづらい □ 読字障害・色覚 ・コントラストなどで文字認識がしづらい場合がある □ 知的障害 ・使用する色の量が多いとパニックになってしまうことがある ■ [お困りごと(4)] 数字の表記や入力に関する困りごと □ 算数障害・知的障害 ・数の概念がわかりにくいため「%」などがわかりづらい ・数字よりも漢数字で書かれている方が理解しやすい ・簡単な数字や記号を理解しにくい・記憶できない ・パスワードの入力に時間がかかってしまう ・桁が大きくなるほど理解しづらくなる □ ADHD ・見積りが苦手なためECサイトで必要以上にお金を使ってしまうことがある ■ [お困りごと(5)] ブログ・メディアサイトの構成による困りごと