2024年4月改正法施行、障害者差別解消法:ウェブアクセシビリティ義務化ではないが、どうすべき?
図の左側のデザインの場合、どこまでが一つの記事だか判別しにくいが、ブロックで色分けされている右側のデザインの場合はわかりやすいという例が紹介された。
キャプチャ認証についても、文字がゆがんでいると認識しづらく、何度も入力して疲れてしまうという困りごとがあるという。 識字障害、ディスレクシアのサイトの閲覧については、スクリーンリーダを使っている場合もあるが、視覚障害者とは異なり画面が見えているので、自分が読みたいコンテンツの部分を探して読み上げることができる。ただ、デザインによっては繰り返し読み上げ箇所を探すと疲れることがあるという。 フォントや行間をカスタマイズするツールを使っている場合もあり、講演では「Helperbird」というChrome拡張機能を使ったデモ動画が紹介された。 ┌────────── ツールを使って、見やすいフォントに変更し、行間を広く設定することで、読み上げ機能を使わずに自分で認識できます。ウェブサイトの作成時に見出しをマークアップする、行間を広くするだけで、発達障害者にも見やすくなることを知っておいてください(常岡氏) └──────────
1行でアクセシビリティに対応できる、という甘い言葉にご用心!
視覚障害者、発達障害者の事例が紹介されたが、他にも問題点はさまざまで次のようなものもある。 ・色のコントラストが弱くて、読みづらい、見えづらい(視覚) ・動画に字幕が付いていないので、内容が理解できない(聴覚) ・キーボードで操作できないので、全く使えない(運動、上肢) ・色の違いだけで示しているので、理解できない(色覚多様性) ・エラーメッセージがわかりにくくて、エラーを修正できない(全般) 植木氏は、最後に伝えたいこととして「気を付けよう甘い言葉とオーバーレイ」という言葉を挙げた。 ┌────────── オーバーレイと呼ばれているツールの中には、HTMLコードに1行追加するだけで、アクセシビリティガイドラインに準拠できると謳っているものもあります。オーバーレイでユーザーが利用できるのはウェブページの見た目をカスタマイズする機能などですが、カスタマイズが必要なユーザーは、すでにPCやスマホの機能やツールなどでカスタマイズしています。 そしてオーバーレイでは、文字のコントラスト不足、動画の字幕がない、キーボードで操作できない、画像に代替テキストがない、見出しがマークアップされていないという致命的な問題を解消できません。 コンテンツを改善しなければ根本的な解決にならないのです。オーバレイの導入を検討される際には注意してください(植木氏) └────────── 最後に、植木氏はウェブアクセシビリティについてはデジタル庁の「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」が参考になると紹介した。 原口氏は「今日の話をきっかけに誰もが使いやすいウェブページを身の回りから考えてほしい」と話し、常岡氏は「ウェブアクセシビリティは視覚障害者のためと考えがちですが、発達障害など他の障害の人、障害のない人にも役に立つものなので、対応してほしい」と話し、講演を締めくくった。