まさに異例事態!「公明党が」国民民主にすり寄るなぜ、政治資金めぐり自民案ではなく、国民民主案に「相乗り」
「これまでの選挙なら、有権者に投票を呼びかける電話をかけると、『もう投票しましたよ』と好意的な反応が返ってきた。しかし10月の衆院選では、電話をかけても反応が冷たかった」 それは来年の参議院選に大きく影響するに違いない。そうでなくても支持母体である創価学会は高齢化が進んで選挙の運動力が低下した上、これまでの個人的な集会を中心とした選挙活動がコロナ禍で大きく変容した。 とりわけ参院兵庫選挙区では、公明党は厳しい対応に迫られる。
10月の衆院選で自民党は53万2662票、日本維新の会は44万6210票、立憲民主党は41万1706票の比例票を獲得したが、公明党が得た比例票は28万346票にすぎなかった。参院兵庫選挙区の定数は3議席だから、公明党は絶望的だ。 5年前の参議院選では、公明党の高橋光男氏は50万3790票を獲得して当選を果たしているが、それには特殊な事情があった。この時、定数2で与野党が議席を分け合っていた広島選挙区で、自民党はベテランの溝手顕正氏に加えて新人の河井案里氏を擁立したのだ。
なんとか河井氏を当選させたい当時の安倍政権は、広島県内の公明票を河井氏に入れてもらう代償として、兵庫県内の自民票を公明党に差し出し、高橋氏は当選。 だが、自民党の加田裕之氏は46万6161票しか獲得できず、次点の立憲民主党の候補に3万1315票差まで迫られた。当時官房長官だった菅義偉元首相は、「ちょっと削りすぎたかな」と反省の意を周囲に漏らしたという。 ■次の参院選で選挙協力をすることになるのか 2025年の参議院選では自民党からの票はさほど望めない。とすれば、注目すべきは19万8941票を獲得した国民民主党で、公明党にとってかつては新進党(参議院では平成会)として行動を共にした仲間でもある。また兵庫県には非自民で結集した「連合・五党協議会」の歴史もある。
もっとも県内での立憲民主党と国民民主党との関係は良好で、5年前の参議院選でも、国民民主党は立憲民主党の公認候補を応援した。しかし今や国民民主党の立ち位置は、より与党に近くなった。衆議院で28議席を得て以来、自公との政策協議の機会は確実に増えている。 国民民主党は与党入りをしないまでも、政策実現のために与党とは近い関係を維持していくだろう。とすれば、選挙でも協力関係を結んでもおかしくない。 自民党が1強だった時代は徐々に去りつつある。もし各政党が政策を軸に動くなら、政治は大きく変わるはずだ。この度の公明党と国民民主党の法案の共同提出は、その端緒となりえるのか。
安積 明子 :ジャーナリスト