阪神・原口文仁、FA交渉 行使含めゆっくり「考える」
プロ15年目の今季、初めて国内フリーエージェント(FA)権を取得した阪神・原口文仁内野手(32)が18日、西宮市内の球団事務所を訪れ取材に応じた。球団とFAについて話し合いを行ったもようで、今後は権利の行使も含めて検討を進める。出場機会が限られても、勝負強い打撃や仲間をもり立てる姿勢で虎を支えてきた。あらゆる経験を重ねて手にした権利だけに、じっくりと最善の道を探る。 真っすぐに報道陣と向き合い、口を開いた。誰よりも時間を要し、苦難を乗り越えて手にしたFA権だ。原口は、ゆっくりと考え抜いて決断を下すつもりだと説明した。 「野球人としてすごく大きな決断になると思うので。しっかり考えて、自分が納得した上で進めるようにやっていきたいと思います」 球団事務所で話し合いを行ったとみられる。FA権は日本シリーズ終了の翌日から土、日曜日と祝日を除く7日以内に球団側に意思を伝えれば行使でき、猶予はまだ3週間ほどある。その言葉からは、FA権行使を含めてすべての可能性を排除せずに考えたいという思いがにじんだ。 今季はチームが捕手2人制だった期間も長く〝もしもの場合の捕手〟としてベンチを温める時間が長かった。出場52試合で打率・241、2本塁打、9打点。それでも、2割5分超えれば上出来とされる代打打率で「・279」をマークした。13日のクライマックスシリーズのファーストステージのDeNA戦(甲子園)では、2-10の九回にソロアーチを放って意地を示した。 阪神への愛着を問われると「もちろん、もちろん。ここまで(お世話になって)ね、本当に」と何度もうなずいた。2019年には大腸がんからのカムバックを果たし、周囲や球団への感謝の思いは当然強い。一方で、人生観が変わるほどの体験をしたことで「今を最高に楽しむ」ことがテーマになった。出場がない日も藤本内野守備走塁コーチから毎日ノックを浴び続けて、一塁の守備力向上を評価する声もある。打席に立ちたい、勝負したいという渇望から、権利行使に気持ちが傾いても何ら不思議ではない。 来季を虎で迎えれば在籍年数16年目で、現役では単独で最長となる。2軍にいた時間は長かったが、藤川新監督と現役時代が最も長く重なっていたのも原口だ。18年2月の沖縄・宜野座キャンプのブルペンでは捕手役に指名してもらい、打者を想定して一球一球の配球をすり合わせてもらったこともあった。きめ細かな野球観に何度も直接触れてきただけに、22日からの秋季練習での対面に「楽しみですね」と胸を躍らせる自分もいる。