「時代の流れとはいえ、切ないね」かつての“シャープの城下町”が、現在はシャッター街に…やっと動き出した再生への第一歩
少し離れた観光地にも影響が
また、大企業の撤退は少し離れた付近の観光地にも影響を及ぼしているという。元社員の男性がこう続ける。 「昭和の時代、この辺りで宴会をするなら日光・鬼怒川温泉が定番だった。観光バスを15台以上借りて、泊まりがけでどんちゃん騒ぎ。しかも年に何度も。だけど、それが業績の悪化とともに中止になった。各地の企業の衰退とともに、日光も荒廃が進んでいると聞きましたよ」 日光を訪れると、東武鉄道鬼怒川公園駅近くの滝見橋から、同じく廃墟と化した旅館やホテル群が見える。かつては派手な宴会が開かれていた様子がうかがえた。
工場跡地が買い取られ、芽吹く再起の希望
最後に、元社員の男性に“この街の未来”を尋ねてみた。 「最近、この工場跡地を地元の製材業を営む企業が買い取ったそう。街に少しでも活気が戻れば、これほどうれしいことはありません」 製材業のトーセンが跡地を買い取り、2025年春ごろ稼働予定の製材工場や、企業誘致をはかるなどの整備計画が進められている。 大企業が去っていっても、奮起しようとする姿があった。可能性を持った新芽が今、芽吹き始めている。 取材・文/週刊SPA!編集部 ―[[企業が捨てた街]の悲惨なその後]―
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