「火山だから美しい…」死者58人 行方不明者5人の御嶽山噴火から10年 集う人たちがより安全に登れる山へ
二の池ヒュッテ 高岡ゆりさん: 「活火山であるっていうことは変えられないですけれども。火山だから美しいっていう景色があったりもするんですよね。じゃあ御嶽行ってみようかっていうきっかけの一つにうちがなれればいいなと思いますね。人が来てくれないと、やっぱり山が元気にならない」
■噴火から9年で通れるようになった「八丁ダルミ」
9合目から山頂へと続く「八丁ダルミ」と呼ばれる場所は、噴火から9年たった2023年、シェルターの整備もすすんだことから、やっと通ることができるようになった場所だ。
八丁ダルミは火口から近く、時速300キロほどともいわれる速度で降り注いだ噴石が、逃げ場のない登山者を襲い、多くの命が失われた。
山頂近くでは、10年たった今も、火山灰が残されている。
今も、この周辺では硫化水素のにおいがただよっている。八丁ダルミを抜けると、山頂に到達する。
■今も行方不明の友人へ…「一緒に年をとりたかった」
標高3067mの山頂「剣ヶ峰(けんがみね)」。
噴火の爪痕が、今でも残っている。
山頂では、記念撮影をしたり、ご飯を食べたりする人の姿があった。
この日は霧がかかって絶景を見ることができなかったが、10年前の噴火があった日は、すみわたった青空の下、同じことを多くの人たちが楽しんでいた。 登山者: 「10年前の噴火の一週間前にここ(山頂)に来た。10年たったんで、どうなってるんだろうって」 別の登山者: 「(当時は)みんな学生だった。怖い気持ちはありますけど、あまり恐れすぎず、ヘルメットとか備えはして」
名古屋市から登山に来ていた女性は、今も行方不明となっている三重県鈴鹿市の伊藤亮介さん(当時39)のために登りにきていた。 女性: 「友達が噴火で、この現場でまだ見つかってない。今年は10年だから、会いに行こうかなと」
女性は伊藤さんと大学の同級生で、まだ見つからない伊藤さんに会うために登山をはじめ、毎年、友人と登っている。
女性: 「まだみんな下なんですけど。大学の時の友達に毎年会うことないと思うけど、今はこうやって登るので毎年会える。こんなことで会えるのは寂しいなという気持ちもある。一緒に年とりたかったなって。みんな年とってるから」
御嶽山はこの10年で、“より安全に登れる山”に変わった。それでも、活火山であることにはかわりない。ヘルメット着用など安全対策をし、最新の情報を確認したうえで登ることが大切だ。 2024年9月26日放送