なんだか乗り心地が悪いと感じたら、リヤショック交換前にリンクのグリスアップを
サスペンションの良し悪しがバイクの乗り心地を左右し、アフターマーケットの高性能サスペンションを装着するだけで印象が大きく変わるというのもよく聞く話です。しかし、その前にできることもあります。その代表例がリヤサスペンションリンクのメンテナンスです。動きが渋くて「これだから純正は……」と言う前に、分解清掃とグリスアップを実践すれば、驚くほどの変化を実感できるかもしれません。 【画像】分解清掃やグリスアップの手順をギャラリーで見る(10枚) 文/Webikeプラス 栗田晃
荷重が加われば無理にでも動くリヤサスペンション
タイヤの空気圧低下やドライブチェーンのオイル切れなど、普段は気づいていないだけでいつの間にか性能が低下していた、というのはよくあることです。サスペンションもその一例と言って良いでしょう。 スプリングが吸収した衝撃を緩和させるダンパーオイルは、ストロークの繰り返しで粘度が下がり減衰力低下の原因になります。するとブレーキング時やコーナリング時の車体の挙動が不安定になり、ライディングの楽しさが半減してしまいます。 スイングアームピボットも同様で、サスペンション作動時の荷重や走行中の飛散する雨水や汚れでグリスが劣化すると動きが悪化したり、ピボットにガタが生じる原因になります。 ショックアブソーバーのオイルやガスが抜けて減衰が効かなくなったサスペンションは、スプリングの伸縮を抑える能力がなくなり、路面からの衝撃を受けるといつまでもボヨンボヨンと跳ね続けてしまいます。そうなると相当鈍感なライダーでも「最近、跳ねが収まらないな……」と気づくはずです。 しかしメンテナンス不足による不具合は、減衰不足による「動きすぎ」だけに現れるとは限りません。場合によっては「動かない」不具合もあるのです。サスペンションの例で言えば、潤滑不足によるフリクションロス増大がそれに該当します。深いな跳ねや揺れが止まらないのと違って、サスペンションが動かない症状は時に足周りに締まりがあると誤解されることもあります。 ですがサスペンションのないリジッド状態と、減衰力が正しく発揮されているサスペンションには根本的な違いがあり、適正なストロークと減衰力のないサスペンションではスポーティな走行はできません。 軽量な車体と小柄なライダーの組み合わせでも200kg近い重量になれば、動きが渋いサスペンションでも大きな力が加われば無理矢理伸縮させられてしまいます。しかし走行中に荷重の変化が少ない状態では作動性の悪さが露呈して、たとえば路面の継ぎ目でドタバタしたり、車線内のわだちを斜めに横切ろうとした時に車体が大きくフラつくな動きを見せることもあります。 これを「硬い乗り心地でスポーティ」だと判断するのは大間違いです。本当にスポーティで高性能なサスペンションは、路面からの入力の大小にかかわらず、ショックをスムーズに逃がして吸収してくれるからです。