ルマン24時間の舞台で鮮烈デビュー! ブランド初のBEV「A290」が目指したアルピーヌらしい“高性能”
電子デバイスで運転の楽しさを増幅
サスペンションアームやサブフレームにはアルミニウムが多用され、ホイールベース間へのマスの集中化と低重心化を企図。専用タイヤをミシュランと開発したほか、トルクとブレーキのマネジメントコントロール、つまり左右輪のベクタリングシステムで、まったく新しいアルゴリズムを採用して特許を取得しているという。 加えてスウェーデンなどの氷雪路でのテスト走行を重ねた結果、低速域からの高いアジリティーを実現しながらも、日常的に扱いやすいハンドリング特性が得られたという。 以上がハードウエア面の概要だが、日常的な快適性と鮮烈なドライビング体験を両立させるため、A290はエンハンサーとなるさまざまなデバイスを備えている。 まずサウンドに関して、アルピーヌはフランスの音響メーカー、DEVIALET(デヴィアレ)と組んで、「アルピーヌドライブサウンド」というBEVならではの走行音体験を取り入れている。これはモーターの駆動音を回転数に合わせて、ハーモニクスとして増幅して取り出すシステムだ。フェイクでつくり上げた音ではなく、モーターのうなりを忠実に心地よく再現するため、エンジニアが主観的にチューニングを重ねた音だという。 サウンドモードは通常の「アルピーヌサウンド」と「オルタナティブ」があり、前者の場合、低速・低回転域では低くくぐもった音から加速の伸びに応じて徐々に破擦音のようなトーンがついていく。後者では、よりハイピッチでリバーブも効かせて、ほえるようにパンチの効いたニュアンスが味わえ、頭打ちすることなく音が伸びていく。これを20cm径のサブウーファーを含む計9つのスピーカーシステムから、走行中に発するのだ。 もちろんデヴィアレのシステムは通常のオーディオとしても使え、A290の車内空間に最大限のイマーシブ効果をもたらすという。「フィデリティー」と「スピーチ」、「ダイナミック」に「ヘビー」という、音源のタイプや好みごとに4つのモードを使い分けられる。