【道は星に聞く!】GPSナビ誕生からポータブル隆盛までカーナビの歴史を振り返る
ソニーnav-u NV-U1(ソニー・2007年)
おなじみのソニーも、かつてはカーナビの主要メーカーのひとつだった。1992年から個性あふれるモデルを次々とリリースしていたものの、2005年に市販車載器事業から撤退。だが2007年に、まったく新しいブランド『nav-u(ナブ・ユー)』を引っ提げて突如復帰する。 じつはこの頃、台湾や韓国のメーカーが発売したポータブル型ナビの『PND』が日本市場で急速に人気を高めており、ウォークマンをはじめとしたポータブル機器を得意とするソニーは黙って見ていられないとばかりに、日本の大手メーカーとして初の本格参入を果たしたのだ。 ポータブル型とはいえソニーの本気度はすさまじく、自車位置の測位にはGPSに加えて加速度センサーや気圧センサーまで内蔵して、徹底した高精度を追求。タッチパネルは当時流行していた携帯端末・PDAで好評だったジェスチャーコマンドを採用し、指先で円を描けば地図の拡大や縮小ができ、山を描けば自宅へのルート探索ができた。 また、付属DVD-ROMとパソコンを利用しての地図データ入れ替え、メモリースティックによるデータ拡張、ワンタッチ接続のVICSビーコンユニット(オプション)による渋滞回避ルート探索なども実現していた。 今では一般的なゲル式吸盤の採用も、車載用としてはこのモデルが初めてだ。あらゆる部分に業界初の機能が備わった画期的な一台といえる。 nav-uはこの後、モデルチェンジによって高機能化やバリエーションの拡大を図っていったが、市場全体の低価格化やスマホの登場などが影響し、2012年にシリーズは終焉。ソニーは再びカーナビ市場から撤退をした。
浜先秀彰(執筆)