なぜ横浜DeNAはハマスタで負けないのか…本拠地17連勝でついにヤクルトと4ゲーム差…史上最大の下克上の可能性は?
松山の三塁ファウルゾーンに上がったフライを宮崎が観客席との間にあるネットに体を預けながら好捕。バックが伊勢を盛り立てる。 続く堂林に四球を与えて満塁になったが、代打長野を151キロのストレートで三振に打ち取り、8回エスコバー、9回山崎とつないでの完封リレーである。これで伊勢、エスコバーは揃って30ホールド。今の横浜DeNAの強さを象徴する数字である。 6連勝、そしてホーム17連勝。8月は2つしか負けていない。 強さの理由を阪神、ダイエー(ソフトバンク)、ヤクルトでプレーした評論家の池田親興氏は、「固定された打線が生み出すリーグナンバーワンと言える得点力や、先発投手の安定感など、投打のバランスが非常に素晴らしく噛み合っていることが勢いにつながっているが、最大の要因は、“最強”ブルペンの充実にある」と分析している。 実は、三浦監督は、前日のゲームで伊勢、エスコバーをベンチ入りメンバーから外して家に帰らせていた。そして、この日は、前日2イニングを投げた入江、平田というブルペンの第2グル―プをベンチメンバーから外した。池田氏は、「三浦監督の勇気ある采配」と、この部分をクローズアップした。 「昨年、優勝したヤクルトの高津監督は、中継ぎの1、2軍入れ替えや2連投以上させない中継ぎローテーなどを取り入れ、ブルペンを整備した。今年は横浜DeNAが連投や球数を投げた中継ぎ陣を翌日にベンチから外すという、また違った形でブルペンのコンディションを整える方策を取り入れ、最強ブルペンを作りあげた。監督は、勝利方程式のメンバーは使わないとしてもベンチに入れておきたいものだ。それをはなからベンチ登録から外すという決断はなかなかできない。ベンチ入りして出番がないのと、試合前に家に帰れるのでは選手のリフレッシュ度が違う。この家に帰れるという点が、他の選手も含めてホームで17連勝の要因の一つなのかもしれないとも考えているが、投手出身の三浦監督ならではの采配ではないだろうか」 伊勢、エスコバー、山崎の防御率は、いずれも1点台。そして山崎は通算セーブを199に積み上げ節目の200セーブに王手をかけた。 そして、この本拠地17連勝のうち11勝で先発に勝ち星がついていることも忘れてはならない。 「ピッチャーは打線が点を取ってくれる。打線は先制さえすれば逃げきれるとチームの投打に信頼関係が生まれつつある。横浜DeNAの投手陣がストライク先行の攻撃的な投球ができているのは、最小失点ならOKという余裕から来ていると思う」と池田氏。 デーゲームの中日戦にヤクルトが敗れ、7月4日の時点で最大17.5あったゲーム差が、ついに最接近の「4」となった。夢幻の向こうで飛んでいたツバメの背中をついに視界に捉えた。