【解説】トランプ政権誕生で日本企業への影響は?“トランプ関税”に懸念の声も…石破政権の長期的安定が日米関係のカギに
“安倍・トランプ関係”と“パートナーとしての日本”
一方、日本企業への影響という視点では、石破・トランプ関係がどうなっていくかも重要である。第2次トランプ政権の対日姿勢については、現時点で不透明な部分が多いが、以下2つの点は明るい材料と言えよう。 1つ目は、“安倍・トランプ関係”である。 8年前の米国大統領選挙でトランプ氏が勝利した際、日本国内では、“アメリカファースト”に徹するトランプ氏と、どう上手く付き合っていけばいいのかと不安の声が広がったが、安倍氏は大統領選直後にトランプ氏をいち早く訪問し、黄金のゴルフクラブを手土産に親睦を深めることに尽力した。それが功を奏し、安倍氏はトランプ氏と会談するたびに共通の趣味であるゴルフで友情を深め、トランプ氏から個人的な信頼を獲得することができ、安倍・トランプ時代は良好な日米関係だった。 トランプ氏は安倍・トランプ時代の日米関係を経験しており、基本的にはそれを2期目に活かしてくると考えられる。 もう1つは、“パートナーとしての日本”である。 バイデン氏は自由や民主主義といった価値や理念を重視する一方、トランプ氏は商取引的なディール外交を基本とし、両者は相容れないように見えるが、対中優位性を確保しようとする野心は変わらない。 米国では議会でも市民の間でも中国警戒論が広がっているが、対中国において、日本は米国にとって代え難い同盟国であり、米国にとって日本の重要性は高まる一方である。これは、“アメリカファースト”に徹するトランプ政権になっても変わらない事実であり、トランプ氏はこの政治力学の変化を意識し、対日関係を重視してくることが考えられる。 石破・トランプ関係の行方について、一部メディアでは石破氏がゴルフ通ではない、相性が合わないのではないかとの見方も上がっているが、石破氏が日米関係は米国にこういった利益をもたらすなどテクニカルなディール外交に努めれば、安倍・トランプ関係ほど友情に満ちたものになる可能性は低くても、基本的には安定した日米関係が継続されるだろう。