日本企業には「夢が、ビジョンがない。」...NASAの清掃員とレンガ職人に共通する成功する起業の秘訣とは
近年注目が集まっているアントレプレナーシップ。「起業家精神」と訳され、高い創造意欲とリスクを恐れぬ姿勢を特徴とするこの考え方は、起業を志す人々のみならず、刻一刻と変化する現代社会を生きるすべてのビジネスパーソンにとって有益な道標である。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では、米国の起業家教育ナンバーワン大学で現在も教鞭をとる著者が思考と経験を綴った『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』(山川恭弘著)より抜粋して、ビジネスパーソンに”必携”の思考法をお届けする。 『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』連載第12回 『「ふつうの会社員」にこそ知ってほしいマインドセット...不安定な時代を生き抜くために「起業家精神」が有効な納得の理由』より続く
スタートアップに存在する3つの大切な要素
ほとんどの会社には「企業理念」があります。抽象的な四字熟語ひとつの理念もあれば、何ヵ条にもわたる企業理念もあります。世界的にも有名なものとしては、「Johnson & Johnson」の「Our Credo」があります。大切なのは、絵空事ではない、リアルな理念であることです。 私が見聞してきたスタートアップには、必ず「ビジョン」「ミッション」「パーパス」の3つが存在します。まず「叶えたい夢」がある。これがビジョンです。そしてビジョンを叶えるための「ミッション(なすべきこと)」があり、それをなす「パーパス(存在意義)」が揃う必要があります。アメリカの投資家は、起業家に対して、この3つについてとても重視して質問してきます。 起業家になるために必要なこと。それは一つには絞れません。しかし、「夢からはじめること」「ビジョンを持つこと」が不可欠です。技術や人材、組織、お金、それらは、後からついてきます。むしろ、邪魔になることさえあります。「儲かりそうだなぁ」と参画してくるメンバーは、少しうまくいかなくなると離れていきます。 しかし、ビジョンでつながっていると簡単には離れません。起業家自身も、少々うまくいかなくてもブレることがありません。ビジョンがない起業家は、うまくいかなくなったときに土台から覆すような軌道修正をして、取り返しがつかなくなるケースもあります。