テレビの「32型」がどこのサイズを表しているのか、知っていますか?横の長さではありません
テレビの縦横の長さを求める方法
話を戻しましょう。本題は「対角線の長さだけでどのように縦と横の長さが分かるのか」でしたが、実はピタゴラスの定理と、「横:縦=16:9」という比を組み合わせれば、縦横どちらの長さも求めることができるのです! 実際に「32型」のテレビの縦横の長さを求めてみましょう。 数学の問題では基本的に「求めたいものを文字で置く」というステップが重要になるため、縦の長さをXcmと置いてみます。この場合、横の長さは16/9Xcmとなります。よって、ピタゴラスの定理を用いると X^2+(16/9 X)^2=32^2 (in) という式を立てることができます。これを計算してセンチメートルで表すと、 縦:39.84…cm 横:70.84…cm となります。つまり、ざっくり言えば「40cm×70cm」の大きさのテレビであることが、対角線の長さの情報だけで分かるのです。気になる人は、筆算をしたり電卓を使ったりして確かめてみてください!
「32型」と「32V型」の違い
さて、最後はちょっとオマケ的な話です。皆さんは家電量販店などでテレビを選んでいて、「32型」「40型」という文字列の中に「32V型」などという「V」のついた表記を見たことはありませんか? この「V」は、「Visual Size」の頭文字であり、液晶画面という意味を持っています。 基本的にテレビには、外枠のフレームという部分が存在します。このフレームを合わせて対角線を測っているのが「32型」であり、フレームを含まない液晶画面だけの対角線が32インチであることを表しているのが「32V型」です。つまり、同じインチの型であれば「V」がついているほうが少し大きい画面で映像を観ることができる、ということになります。 テレビは家電の中ではサイズの大きいものであるため、家の間取りやテレビ台の配置などを考えると、細かく縦横の長さや奥行きなどを確かめることが重要になります。そんなときにも役立つのが、数学の知識なのですね。 今回は、テレビのサイズ、縦横の長さという非常に身近な内容から、数学の公式について考えていきました。 世の中は、さまざまな意味を持つ数字で溢れています。皆さんもこの機会に、ふだん何気なく目にしている数字の「意味」に着目してみると面白いかもしれません!
永田 耕作(現役東大生・ドラゴン桜チャンネル塾長)