日本は世界から見たら特殊な市場! 日本じゃイマイチな車種がアメリカでは30倍も売れる例もあった
軽自動車が4割を占める日本市場の特殊性
日本での販売はそこそこなのに、海外ではものすごく売れているクルマがある。 その裏には、日本市場の特殊性が関係している。日本市場全体の約4割が軽自動車であり、その軽自動車は日本固有の車両規格。だから、日本市場で海外との比較が可能なモデルは、軽自動車を除いた市場全体の約6割ということになる。 【写真】日本で惨敗もアメリカでは大ヒット! 日産NXクーペとは しかも、市場全体の6割のなかでもミニバンの需要が多く、残りがSUV、セダン、クーペというカテゴリーになる。だが、セダンの重要も最近は急激に減少しており、またスポーティ性の高いクーペのモデルラインアップも極めて少ないのが日本市場の実状だ。そして、海外では日本のようにミニバンのシェアはさほど大きくない。 そんな日本での発売モデルのなかで、海外での発売台数と大きな開きがあるモデルがいくつかある。その多くが、世界第2位の自動車生産・販売国であるアメリカに集中している。 背景には何があるのか? たとえば、自動車販売台数第1位の中国の場合、日本メーカーのラインアップでは中国市場に特化したクルマが多いため、日本市場との比較が難しい。また、欧州市場では日本全体のシェアがあまり高くない。そして東南アジアでは、それぞれの国で市場特性が違い、それぞれの国の市場規模が欧米中ほどは大きくない。 こうした状況のために、アメリカと日本との比較で、販売台数が大きく違うモデルがあるというわけだ。
コンパクトSUVのトレンドが販売台数差をさらに広げた
では、具体的なモデルを、トヨタとホンダそれぞれの2022年実績を基に比較してみよう。 トヨタの場合、その筆頭は「RAV4」だ。日本では3万118台なのに対して、アメリカではその約13倍の39万9941台にも達している。 また、「カムリ」の場合、日本の2021年実績が1万620台なのに対して、アメリカの2022年実績は、その約28倍の29万5201台だった。 次いで、ホンダの場合、「シビック」が日本で8773台にとどまっている一方で、アメリカではその約15倍の13万3932台。だが、これは半導体不足などのサプライチェーンの課題による納車遅れが大きく影響しており、前年2021年実績は26万3787台と日本の30倍近い数字となっている。 また、「CR-V」についても、アメリカは2022年実績で23万8155台、そして2021年実績が36万1271台と、日本では考えれないほどの数をさばいいた。 日本市場の2022年実績で、年間10万台超えは、「ヤリス」(16万8557台)、「カローラ」(13万1548台)、「ノート」(11万113台)、そして「ルーミー」(10万9236台)の4台にとどまっている状況だ。 アメリカ市場の場合、1980年代以降はC/Dセグメントと呼ばれる中小型のセダンが市場の中核にあったが、2010年代以降にはミッドサイズSUVとフルサイズSUVから、コンパクトSUVへのダウンサイジング、または一家族のなかでコンパクトSUVの増車が目立つようになった。 こうしたトレンドはいまも顕在であり、当面の間、「RAV4」や「CR-V」などのモデルは、日米の販売台数差がさらに広がっていくことになるだろう。
桃田健史