サードプレイスの先、「4th Place」という新しい場とは
現代社会において、私たちは生活の中でさまざまな「場」に支えられています。家(1st Place)は生活の基盤を提供し、職場(2nd Place)は生産性や社会的役割を与えます。そして、公共空間やカフェなどの3rd Placeは、日常を少し彩るリフレッシュの場として機能しています。 しかし、社会が複雑化し、人々の価値観も多様化した今、これらの場が提供できる価値には限界があります。例えば、デジタル化により「つながる」ことが容易になり「居心地の良い場所」のアクセスや選択肢も増えた一方で、孤感や疎外感を抱える人も増えています。 ”Third Place(サードプレイス)”は、1989年に米国の社会学者Ray Oldenburg氏が著書「The Great Good Place」のなかで提唱しました。そこで「サードプレイスは、民主主義や市民活動の場となり重要である」とされていましたが、今世界では、経済格差や価値観の分断が進行しています。 この背景から、新しい「つながり」の形として注目されているのが「4th Place」です。 ◾️4th Placeとは何か? 4th Placeは、1st Placeや2nd Placeといった個人や生産性を重視する空間とは異なり、「意味づけ」や「自己革新」を可能にするコレクティブ(集団的)な場です。今、米国で新たなつながりの場としても注目されています。 その実現者の活動や言葉を参考に、4th Placeの特徴を7つにまとめてみました。 1. 意味づけの場 4th Placeでは、一人ひとりが自己開示をしながら、人生における自分の価値観や前提を見つめ直す場です。参加者同士が、それぞれが“自分の人生における意味づけ”を見出すことを参加者同士でサポートし合います。 2. 意図的なプログラム ファシリテーターの元で、参加者が深い問い(例: 「自分はどのように生きたいか」「社会にどのような影響を与えられるか」)に向き合う場を提供。多くの場合、議論を深めるためのプログラムが用意され、進行役がその場を整理し、問いを促す役割を果たします。 3. 否定をしない共感の場所 4th Placeは多様な人々が同じ場に共存する場であり、考えが異なっていたとしても否定はしません。相手の価値観の背景にある原体験に耳を傾け、互いに好奇心をもって、互いの原点を探究し合う場です。 4. 答えは存在しない 「私は誰か?」「なぜここにいるのか?」「善、美、真とは何か?」「自己、コミュニティ、そして世界との関係とは?」といった根源的な問いが扱われます。答えを導き出すことや、他者を自分の視点に引き込むことではなく、一緒に湧き上がるものを探求し、向き合う。そのため、4th Placeでは、答えよりも多くの問いを持ち帰ることになります。