銃撃されたスロバキア首相、手術後の容体は安定も「非常に深刻」
5月15日に銃撃され重傷を負った中欧スロバキアのフィツォ首相は翌日、複数の銃創を治療するため2チームによる5時間の手術を受けた。病院関係者は、現時点で容体は安定しているものの「非常に深刻」だと記者団に明らかにした。欧州の指導者としては20年超ぶりの暗殺未遂事件。政治評論家や議員からは、スロバキアと欧州全土の政治情勢がますます熱を帯び、二極化していることを露呈したとの見方が出ている。 スロバキアのフィツォ首相は、16日に手術を受けた。容体は安定しているものの、「非常に深刻」だという。 フィツォ首相は15日、5発の銃弾を受け、欧州の指導者としては20年超ぶりの暗殺未遂事件となった。 現地ニュースサイトによると、警察は容疑者を殺人未遂で起訴。終身刑の可能性もあるという。 首相は、中部ハンドロバで支持者に挨拶をしていたところを至近距離から撃たれた。 現場で取材していた、地元記者のラインドロバ氏 「最初は、広場に小さな爆竹が投げられたと思った。 その瞬間、何が起きたか分からなかった。これまでは、ありがたいことに、広場で政治家が撃たれるなんて想像もできない国だったからだ。 ショックがやってきたのはそのあとだった」 この事件には世界中から非難が集まった。政治評論家や議員らは、同国や欧州全土で政治情勢がますます熱を帯び、二極化している証拠だとみている。 チャプトバ大統領は16日、記者会見。 「昨日起こったことは個人の行為だが、憎悪に満ち、緊迫した雰囲気は私たちが集団的に生んだものだ。 新大統領と私は今日、状況を沈静化させ暴力を拒絶することを目的に、全ての議会政党党首を大統領官邸に招待することにした」 フィツォ首相の警備態勢も疑問視されている。ボディーガードは数人だった。 銃撃犯の身元や経歴について公式発表はないが、現地報道によると、容疑者は71歳、ショッピングモールの元警備員だったという。SNSへ、政策に対する批判を投稿していたとの報道も。 ロイターは、動画に映っていた人物が、銃撃後に逮捕された男の画像と一致することを確認した。 フィツォ氏は昨年10月4期目の首相に返り咲いて以来、急速に政策を転換。ウクライナへの支援を縮小する一方、ロシアとの対話を開始した。以前から国内主要メディアに批判的で、一部メディアの取材を拒否している。