お行儀のよいオフィス街へ変身を遂げる渋谷に取り残された人たち
アベノミクスで高層建物が林立
渋谷の開発が加速するのが、アベノミクスと呼ばれた大規模金融緩和が行われた時代だ。2017年4月渋谷キャストを皮切りに、18年8月渋谷ストリーム、19年3月渋谷ソラスタ、8月渋谷スクランブルスクエア東棟、10月渋谷パルコ、渋谷フクラスと高層建物が林立し始める。ここで開発は一段落するがこの間をつないだのが、三井不動産によるMIYASHITA PARKの開業だ。Park-PFIの手法を使った公園の開発は、あらたな再生方法として注目される。 開発の槌音はここで終わりではない。23年9月道玄坂通開発、11月渋谷サクラステージ、24年5月渋谷アクシュと立て続けに竣工する。これからの予定としては駅東口を舞台に、26年度渋谷一丁目地区共同開発、27年度渋谷スクランブルスクエア西棟、中央棟、道玄坂二丁目南、28年度宮益坂、29年度渋谷二丁目といずれも第一種市街地再開発事業が完成する予定だ。
都心でも有数のオフィス街へと変身
渋谷の街はそれまでの商業街から最先端のオフィス街に大変身を遂げつつあるのだ。渋谷がなぜ、オフィス街として注目されているのかといえば、アメリカのシリコンバレーをまねて、渋谷の「渋=ビター」をもじりビットバレーと呼ばれるようにIT・情報通信系の企業が多く集積しているからだ。新築されたオフィスビルには、Google、GMO、MIXI、サイバーエージェント、スクウェア・エニックス、ByteDance(中国北京)などがテナントとして名を連ねる。 その結果として、渋谷は今や、東京都心のオフィス街の中でも有数の地位を築くに至っている。三鬼商事の調査によれば、渋谷区の主要オフィスの空室率は24年10月で3.94%と都心5区の平均空室率4.48%、港区5.71%を大きく下回る。平均賃料単価に至っては、月坪当たり単価で2万3861円と、大丸有(大手町・丸の内・有楽町)を抱える千代田区の2万1716円、中央区1万8294円を上回る高額賃料を享受している。