NASA、太陽最接近後に探査機からデータ受信–無事を確認、観測機器も正常に機能
米航空宇宙局(NASA)は米国時間1月2日、太陽のフライバイ(接近通過観測)を実施した探査機「Parker Solar Probe」からのデータを受信したと発表した。 2018年に打ち上げられたParker Solar Probeは、太陽に接近することでコロナの直接観測などを目指している。2024年12月24日に、時速約69万kmという猛スピードで太陽から約610万kmの距離を通過した。 今回Parker Solar Probeが地球に送信したのは、太陽通過後の最初のテレメトリ(探査機の状態を示すデータ)だ。それによれば、探査機はプログラムされていたフライトコマンドを正常に実行し、接近中に観測機器が正常に機能していたことも確認された。 「Parker Solar Probeは人類が作ったどの物体よりも太陽に近づき、設計通りに機能し、これまで誰も観測できなかったデータを取得した」と、ジョンズ・ホプキンス大学 応用物理研究所(JHUAPL)でプログラムマネージャーを務めるHelene Winters氏は述べている。 Parker Solar Probeのミッションコントロールは、NASAの“深宇宙通信網”「Deep Space Network」を通じてテレメトリを受信し続けており、同探査機が収集した科学データは1月後半に送信される予定だ。Parker Solar Probeは2025年の3月22日と6月19日にも、今回とほぼ同じ距離と速度でのフライバイを予定している。 太陽の表面温度は約6000度だが、太陽の大気であるコロナの温度は約100万度。Parker Solar Probeは、太陽の最大の謎とされている「なぜコロナは太陽そのものよりもかなり高温なのか?」の解明が期待されている。
塚本直樹