「こんな発想をすること自体が問題」、美輪明宏さんが語る「周りに気配りできない人にイライラする人」の本質
私の人生は常に闘いの連続でした。「男女の性別なんて関係ない」ということで有名になると、「女の腐ったのみたいだ」とか、いろいろと非難されてきました。そう言われたら自分を責めて、落ち込みますよね。 でも、私は「じゃあ、あんたはなんなの。どんな才能があるの? いくら稼いでんの? なにものでもないくせに!」という返す言葉を持っていたので、決してひるみませんでしたよ。 人間は、1人ひとりが違っていて当たり前でしょう。「変わっていて当たり前」だと思う。そういう基本を頭の中に入れておけば、少々のことでたじろがずに済むんです。
私は、目の前にいる人の容姿・容貌、年齢、性別、国籍、持っているもの、そういったものは一切見ません。その人の心、つまり魂が綺麗か、綺麗でないか、それだけを見るようにしていればいいんです。心や品性こそが重要なのですから。 ■一歩家の中に入れば問題はゴロゴロしている 隣の芝生は青いと言うように、同じ芝生でも隣のだけは緑が青々と見えるんです。なんの問題もなく幸せそうに見えるものです。でも、ほとんどの場合、一歩家の中に入れば問題はゴロゴロしています。
この世には数えきれないぐらいの花があって、それぞれ違うわけでしょう。全部同じということはあり得ない。だから比べるほうがおかしい。自分と誰かを比べるというのは、全部同じだという錯覚を起こしているから。違うものは違うと初めから思っていると比べようがないんです。 着物の生地だっていろんなものがあります。羽二重もあれば縮緬もあるし、絣もある。どれが優れているかなんて言えないでしょう。「あの人には、あの人の人生。私には私の人生がある。世界が違うんだから」って、思えばいいんです。
美輪 明宏 :歌手、俳優、演出家