伝統の日本髪を現代に 島田髷の女性たちが踊る島田髷まつりとは
駅前の広場で輪になって浴衣姿で踊る女性たち。一見、夏の盆踊り大会のようにも見えますが、女性の髪型に注目してください。子供から大人まで、皆、伝統的な日本髪の島田髷(まげ)を結っています。島田髷の発祥地とされる静岡県島田市で、毎年9月に行われている「島田髷まつり」の光景です。
島田髷の由来については諸説あるようですが、鎌倉時代初期の遊女、虎御前(とらごぜん)が最初に結ったとされています。静岡県島田市には、地元の寺に虎御前の墓とされる墓所があります。虎御前は島田の生まれで、島田髷を考案して結ったと語り伝えられています。ただし、虎御前の墓は日本各地にあるので、虎御前が島田の出身かどうか正確なことはわかりません。 島田髷は江戸時代に普及し未婚女性や花柳界の女性たちが結った髪型ということです。大井川のある島田は江戸時代、島田宿として栄え、旅人たちが遊興費を落としていきました。そのため島田宿では花柳界が栄え、そのため島田髷が地域の文化として根付いていったようです。 しかし、時代の流れとともに女性が島田髷を結う機会は減り、島田髷を結える人も少なくなっていきました。そのため地元の美容院などが中心になって島田髷を結う技術の継承と虎御前の供養を目的に1933(昭和8)年から島田髷まつりを行うようになったということです。 島田市などの美容院で結った島田髷の女性たち約80人が、JR島田駅前や虎御前の墓があるとされる寺院などで奉納踊りを繰り広げました。踊る女性たちは髷娘と呼ばれ、都内や京都などから参加した人もいました。髷娘として10回以上踊りに参加しているという22歳の女性は「島田髷にもいろいろ種類があるので、毎年、違うタイプの島田髷を結ってもらうのが楽しいです」と話していました。