鈴木おさむさんが語るSMAP「謝罪放送」の“真実”…あらがえなかった「ソウギョウケ」の力
「SMAP×SMAP」や「Qさま!!」など、放送作家として数多くのテレビ番組を手がけてきた鈴木おさむさん(52)が今春、その活動に終止符を打った。まだまだ活躍できる年齢での引退に驚かされたが、同じタイミングで出版した書籍「もう明日が待っている」(文芸春秋)には、さらに驚かされた。SMAPのデビューから解散までを小説という形で振り返った本には、SMAPファンのみならず多くの人に衝撃を与えた「あの夜の出来事」の“真実”が描かれていたからだ。鈴木さんは何を思い、なぜ筆を執ったのか。(編集委員・村田雅幸) 【年表】最盛期には7組…各年の紅白歌合戦に出場した旧ジャニーズの歌手・グループ
辞めないと書けない
本書が、「放送作家を辞めると決めたから書けた」物語だったということは、事前に聞いていた。だから記者は、インタビューの冒頭近くで尋ねた。――なぜですか?
「お分かりになりますよね。分かっていて聞いているんだと思いますけど」
鈴木さんはすぐさま言葉を返し、こう続けた。
「だって、ジャニーズのことを書けば、この人、大丈夫なのかなって誰もが思うはずでしょう。それが旧ジャニーズ事務所ですから」
確かにそうなのだろう。芸能界に強い影響力を持つ事務所の意向に沿う限りは、特段問題はないのだろうが、本書は2016年1月18日、SMAPのメンバー5人が自分たちのテレビ番組「SMAP×SMAP」で行った、解散騒動を巡る謝罪の舞台裏を克明に記している。後に「公開処刑」などと批判された出来事の裏側を表に出すとなれば、様々なハレーションが起き、鈴木さんのみならず、テレビ局関係者にも迷惑がかかることが予想された。それ故、放送作家として活動をするうちに出版することはできないと判断したのだという。
悲しむファンに光を
だが、自分の責任として、いつかは書いておきたい本だった。
「謝罪放送については、僕自身もモヤモヤしていたし、SMAPファンの人たちもずっと悲しんでいた。作り手として世の中にあれを出してしまった以上、番組を見て傷ついた人を少しでも癒やせないかという思いがあったんです。ファンに一筋の光を、一滴の希望を持たせてあげたかった」