鈴木おさむさんが語るSMAP「謝罪放送」の“真実”…あらがえなかった「ソウギョウケ」の力
【午後9時15分】
そこに書いてある言葉は、彼ら5人が所属する事務所を作った「ソウギョウケ」のトップの1人であり、この日本で、唯一無二のプロダクションを作り上げてきた女性によるものだった。 生放送の中で、絶対言うべき言葉が書いてあった。 メンバーの1人が社長に謝る機会を作ってくれたおかげで、「今、僕らはここに立ててます」というものだった。
その後、現実の放送がどう進んだかは、多くの人が記憶しているに違いない。黒いカーテンの前に、黒いスーツ姿の5人が並び、1人ずつ謝罪の言葉を述べるのだが、苦しそうだったり、途中で言葉に詰まってしまったり。とんでもないことが今、テレビの中で起こっているのだと感じた人も少なくなかったはずだ。
もちろんその場にいた鈴木さんも、あり得ないことが目の前で起きていると実感していた。その場面を小説で書く際に選んだ言葉が「ソウギョウケ」だった。
「圧倒的な力、僕らが逆らうことができない何か、ということを考えた時、ぱっと降りてきた言葉でした」
ソウギョウケ――。どこか「創造主=神」をも思い浮かばせる単語。ソウギョウケの前に、テレビはひれ伏してしまった。その状況を鈴木さんは今、こんなふうに振り返る。
「すべてが魔法にかかっていたんです。本当は違うのに、従わなければならないと誰もが思い込んでいた」
もう明日が待っている
謝罪放送から7か月ほどでSMAPは解散を発表し、その年の暮れに解散した。小説は最終章で、2024年1月までを描く。5人が現在、どんな活動をしているのか。どう立ち上がろうとしているのか。決して長い章ではないが、5人への視点は優しく、温かい。そして、こうつづる。
僕はあの時からだと思っている。 彼らのおかげで、彼らがあの時から変えたことにより、今まで手に入れることの出来なかった自由を手に入れられた人も沢山(たくさん)いるはずだ。
「あの謝罪放送がゼロ地点だと思っているんです。こう言うとファンの皆さんには申し訳ないけれど、あれがあったから魔法が解け始めた。壊れ、奪われても、そこから芽が出て、新しいものが生まれてくることがある」