闇バイト強盗警戒 「不審な訪問」の相談激増 長野県諏訪、上伊那地方
首都圏で「闇バイト」による強盗被害が相次ぎ、長野県諏訪地方や上伊那地方の住民にも警戒の意識が高まっている。県警のまとめによると「不審な訪問」の相談件数が10月から激増。11月は約半月で4月から半年間の総件数を上回った。防犯設備を扱う地元の店舗や業者では、購入や設置の依頼が急増している。県警と地元警察署は「住民の警戒心が高まっているのは良いこと。だが不安の表れでもある」とし、パトロールの強化で犯罪の抑止と住民の不安緩和に注力。「関東圏から近くて狙われている。防犯意識を高めて」と犯行の手口や対策の周知に努めている。 ■対策など周知 不安緩和に力 県警によると、11月1日~16日の半月の相談件数は283件で、4~9月の総件数を56件上回った。諏訪署管内では、昨年の10~11月は計2件だったが、今年は28件で14倍にもなった。 諏訪市の店舗で防犯設備を探していた男性は「強盗のニュースを見て心配になり、早急に自宅と実家に防犯カメラなどの取り付けを考えている」と防犯設備の購入を急いでいた。道行く女性は「詐欺といい犯罪が多様化して怖い。個人情報が漏れないように気を付け、ちょっとそこまでの外出でも施錠するようになった」と話した。 ■一部で品切れ プロ頼る人も 諏訪や上伊那地方などに店舗を構える綿半スーパーセンターでは、防犯グッズの売り上げが諏訪店で昨年比1.6倍、箕輪店で同7倍と伸びている。箕輪店の三ツ山治伸シニアストアーマネジャーは「昨年まで売れていなかった防犯用の砂利も売れており、これまでにない防犯意識の高まりを感じる」と話している。 需要の急増で一部の商品には、品切れも出ているほど。諏訪湖電気(諏訪市)では、「テレビドアホンや防犯カメラの設置注文は昨年の約10倍。入荷が追い付かず半月~1カ月待ちの状態の商品もある」。 諏訪と上伊那地方のガラスやドアを扱う業者では、窓に貼る防犯フィルムや格子を求める人が多い。「物によってはメーカーの生産が追い付かず、相談があっても即応できないのが歯がゆい。これからさらに品薄になっていくのでは」と懸念の声も上がっている。 凶悪で手荒な犯行を恐れて民間のプロを頼る人もいる。セコム上信越諏訪支社、綜合警備保障(ALSOK)長野支社の両社によると県内の10~11月の相談、依頼件数は前年同期の3~4倍で、永吉正綜合警備保障長野支社副支社長は「異例の多さ」。安達一敏セコム諏訪支社長は、カメラや非常通知装置、窓用フィルムなどのセキュリティーについて「一日も早く強化したいとの声を多数いただいている」とし、県外に住む家族が一人暮らしの親を心配して契約するケースも増えているという。 両社は「在宅時も窓やドアを施錠するなどできることから始めて」と呼び掛け、永吉副支社長は「住民同士のあいさつもないような環境は狙われやすい。地域内のコミュニケーション、目が行き届いていることが犯罪の抑止効果になる」と話している。 ■注意喚起強め 自衛呼び掛け 各所で対策の動きが見える一方、住民の中には「事件のニュースを聞くと怖いと思うが、自分が被害者になるかもしれない危機感はまだ遠い」と話す人も少なからずいる。 県警は、各家庭での強盗対策をまとめた防犯速報のチラシを作成。市町村や防犯協会連合会を通し強く注意を喚起している。各署でも、施錠の徹底や安易に玄関のドアを開けないなど自衛を住民に呼び掛け、「引き続き不審な訪問があれば連絡してほしい」としている。