京都精華が3連覇&3冠で“アレ”解禁 林主将「さすがに今日は言いました!」
◇バスケットボール全国高校選手権第6日(2024年12月28日 東京体育館) 女子決勝が行われ、京都精華学園が慶誠(熊本)に59―54で競り勝ち、桜花学園(愛知)に続く史上2校目の3連覇を果たした。総体、U―18トップリーグとの3冠も達成。慶誠は熊本県勢として初めて決勝に駒を進めたが、頂点には届かなかった。 よくやく“アレ”を解禁した。苦しみ抜いて勝ち取った3連覇&3冠。京都精華の選手たちは新チーム発足から決して口にしなかった「日本一」の言葉を発して喜びを爆発させた。林咲良主将(3年)は「自分たちはどこに負けてもおかしくないチームなので、日本一っていう言葉は言わずに目の前の試合を大事にしようと言い続けてきた」と強調。総体、U―18トップリーグを制しても封印は解かなかったが「今日はさすがに、言いました!」と最高の笑顔で明かした。 特出した存在がいない、今季のチームを象徴する勝利だった。13選手がコートに立ち、2桁得点は留学生の2人だけ。最終盤まで拮抗(きっこう)した展開が続き、2点リードの第4Q残り21・9秒に坂口美果(2年)が難しい体勢から3点シュートを決めて試合を決定づけた。1点ビハインドとなった第2Q残り2分6秒には留学生を除く4人を交代し、1年生3人、2年生1人を投入。直後に逆転に成功して、5点リードで前半を折り返すなどベンチから出た選手の活躍が白星を引き寄せた。 チームを率いて50年の山本綱義監督(74)は校長でもある。昨年優勝メンバーの主力が抜けた今年は戦力が大幅ダウン。新チーム始動時は全国制覇ができるとは考えておらず、周囲に「今年は休息の一年」と漏らしていた。林主将は「去年のチームと比べられて、自分たちの代は京都予選で負けると言われていた。それがホンマに悔しくて、その悔しさをバネにした」と奮起。「1人が1・2人分の働きをすれば、コート上は6人になる」を合言葉に、リバウンド、ルーズボール、ディフェンスの意識を徹底し、接戦に強いチームに成長した。 中高一貫で部員は約35人。マンネリ化を避けるために高校進学時に毎年2~3人の選手を外部中学から入れてチーム内競争を刺激する。練習は密度を重視して基本的に2時間以内。1軍、2軍には分けず、全選手が同じ時間に同じメニューを消化する。相手との実力差のある京都府予選の序盤などを利用し、公式戦でも可能な限り多くの選手を起用。他校との練習試合は年間に数試合だけで、ゲーム感覚は主に紅白戦で養うのが特徴だ。 山本監督は必ず練習には姿を見せ、選手のプレーをチェックする。「しっかり練習を見て、公式戦でどれだけチームを助けてくれるかを確認している。だから今日(の第2Q終盤)も自信を持って1、2年生を厳しい状況で出した。このチームがスタートした時は去年とは違い勝ち上がるのは難しいと思っていた。インターハイ(総体)もトップリーグも今回も僅差。試合を重ねるごとに結束して強くなった。(接戦続きで)寿命は3年ほど縮んだが、この優勝で5年は長く生きられる。感謝です」。孫ほど年の離れた選手を頼もしそうに見つめた。