若手チェリスト、横坂源がリサイタル R.シュトラウス、シュニトケ、ラフマニノフを弾く
リサイタルのピアノ、沼沢淑音は高校時代の同級生。沼沢はモスクワ音楽院でエリソ・ヴィルサラーゼについた。シュニトケ国際コンクール優勝、ポリーニも優勝に過去したポッツォーリ国際ピアノコンクールでも優勝している。ラフマノニフのチェロ・ソナタはチェロとピアノが対等に渡り合う、ピアニストにとっても難曲。
1998年に63歳で亡くなったアルフレート・シュニトケは、かつてロシアにあったヴォルガ・ドイツ自治共和国生まれのユダヤ人。モスクワ音楽院を卒業し、20世紀の前衛的な音楽語法を身に付けたが、その作品は反ソビエト的として糾弾された。1990年、ハンブルクに移住し、何度かの脳梗塞の発作で亡くなった。彼の多様式主義の作品は80年代から西側で急速に認められ、92年に世界文化賞を受賞している。
「ラフマニノフのチェロ・ソナタを最初に決めました。彼と再会して最初に練習した曲です。伊藤恵さんと演奏する機会もありました。シュトラウスのチェロ・ソナタは学生時代の作品ですが、2楽章などに晩年の音が聴こえます。若いシュトラウスの何とも言えない香りがあります。シュニトケの作品はすごくロマンチックですけど、世の中が終わってしまうような強烈な曲です」と話した。
日本音楽財団から貸与された楽器ストラディヴァリウスの「ロード・アレイスフォード」(1696年製)を使っている。かつて著名なチェリスト、グレゴール・ピアティゴルスキー、ヤーノシュ・シュタルケルが弾いていた。
「昔の巨匠の録音を聴くようになりました。亡くなった演奏家が見ていた景色を少しでも見たいと思いました。このチェロにはピアティゴルスキーの音が入っているのです。弾いていると木の記憶を感じられるのです。楽器から教わることばかりです。好きなことをできるなんて本当にありがたいことです。一生飽きることのない世界がここにはあります」
公演は11月30日午後2時、東京・紀尾井町の紀尾井ホールで。(江原和雄)